第212回国会(臨時会)
質問第九四号 朝鮮人虐殺に関する清浦奎吾内閣と現内閣の認識等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月十二日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 朝鮮人虐殺に関する清浦奎吾内閣と現内閣の認識等に関する質問主意書 令和五年十二月七日の参議院内閣委員会において大正十三年一月二十一日の閣議決定文書(以下「本閣議決定文書」という。)を示して、朝鮮人虐殺に対する認識を質問したところ、松野博一内閣官房長官から「御指摘の閣議決定文書からは当該記載以上の内容を把握することができない」と答弁があり、事実関係については法務省政府参考人の中村功一大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官から「朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為をなしたる者に対しては、事犯の軽重に従い、特赦又は特別特赦の手続きをなすことなどとかいてありまして、そのような恩赦に関する方針が決定されたことは分かります」と答弁があった。 中村審議官の答弁で恩赦の方針が決定されたことを認めているということは恩赦を決める原因となった「朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為をなしたる者」がいたと当時の内閣が認識していたこと自体は認めたと考える。 以上踏まえて、以下質問する。 一 本閣議決定文書に特赦及び特別特赦の手続について言及があることから、特赦及び特別特赦の対象となった者がいたことは明らかであると考えるが、特赦及び特別特赦の対象者がいたことについて、政府は認めるか。認めない場合はその理由もあわせて明らかにされたい。更に、本閣議決定文書から、特赦及び特別特赦の対象者はいかなる行為により有罪と考えられるのか、例示でもよいので明らかにされたい。 二 本閣議決定文書からは、清浦奎吾内閣は「朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為をなしたる者」がいたという認識を持っていたと考えるが、本閣議決定文書の内容について、現在の政府も同様の認識であるか明らかにされたい。 なお本質問の趣旨は、朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為を為したる者がいたかどうかについて、清浦奎吾内閣の事実認定を問うているのではなく、あくまでも、本閣議決定文書の存在という客観的事実から、当時の清浦奎吾内閣が、朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為を為したる者がいたとの認識を持っていたかという点について確認するものである。 三 現在の内閣は前述の閣議決定時の清浦奎吾内閣と同様に、朝鮮人犯行の風説を信じ、その結果、自衛の意をもって誤って殺傷行為を為したる者がいたという認識を持っているのか明らかにされたい。また、認識が変わっている場合はそれがいつ、どのような理由で変更したのかを明らかにされたい。 右質問する。 |