第212回国会(臨時会)
質問第八九号 変動する国際情勢の中でのODAに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月十一日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 変動する国際情勢の中でのODAに関する質問主意書 政府は開発に伴う様々な困難に直面する途上国を手助けするため政府開発援助(以下「ODA」という。)として支援してきた。かつて日本はアジア・太平洋戦争で敗戦したが、戦後復興できたのは世界各国からの支援があったからである。米国政府をはじめNGO、UNICEFは様々な援助を行ってくれた。併せて世界銀行の融資もあり産業復興に不可欠な道路や電力を整備できた。そうしたインフラ整備の甲斐もあり高度経済成長を果たし、それは「東洋の奇跡」と呼ばれた。その後、日本は戦後賠償の一環もありODAを通じた国際協力を行っている。二〇一一年には東日本大震災が発生し被災地では甚大な被害を被った。それまでは日本が支援する相手国であっても日本を支援する機運が盛り上がり、被害者に対する弔意や被災者への激励のメッセージや折り鶴、なけなしのお金を工面してくれたであろう寄付金が日本大使館や総領事館などを通じて届けられた。日本に何らかの支援やお見舞いを届けてくれた国・地域・国際機関は二百五十四に上った。このように日本は二度にわたり世界各国からの支援を受けた経験を持つ。 大切な外交手段として展開されてきたODAによって日本に対する信頼感が醸成されてきた。一方、二〇〇一年には米国同時多発テロが発生し、その後、日本や米国が平和構築支援を続けてきたアフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが勢力を拡大し、日本が民主化を支援してきたミャンマーでは軍事クーデターが起こっている。二〇二二年にはロシアがウクライナに侵攻するなど国際情勢は混沌としている。こうした状況にあることを踏まえ、以下に関して政府に問う。 一 ODAを通じて途上国が平和で安定し、発展していくことが日本の安定や繁栄につながっていると認識する。しかし、近年、国際情勢は混乱し、強権化が進む国もある。G7がG20に拡大したように新興国の発言力も増している。今後の方針として政府はODA予算を拡大するのか、もしくは縮小するのか、その方針を問う。 二 ODAの相手国の政治体制が変わったり、人道問題が懸念される場合に政府はどのように対応するのかを問う。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |