第212回国会(臨時会)
質問第八八号 地方交付税制度の仔細を国民が知る手段は高額な地方交付税制度解説を購入するしかない現状に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月十一日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 地方交付税制度の仔細を国民が知る手段は高額な地方交付税制度解説を購入するしかない現状に関する質問主意書 地方交付税法第三条第一項には「総務大臣は、常に各地方団体の財政状況の的確なは握に努め、地方交付税…の総額を、この法律の定めるところにより、財政需要額が財政収入額をこえる地方団体に対し、衡平にその超過額を補てんすることを目途として交付しなければならない。」、同条第三項には「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」と定められている。つまり地方交付税の交付においてはそれぞれの地方行政において合理性且つ妥当性が前提となっており、地方交付税の算定においても同様に合理性且つ妥当性が求められることは自明である。しかしながら、地方交付税の算定の詳細については総務省ホームページ等で公表されていない内容も存在し、公表情報だけでは仔細が不明である。 他方、一般財団法人地方財務協会(以下「同協会」という。)では毎年「地方交付税制度解説(単位費用篇)」が四千九百五十円(税込)、「地方交付税制度解説(補正係数・基準財政収入額篇)」が七千七百円(税込)(上記二篇を併せて、以下「地方交付税制度解説」という。)でそれぞれ販売されており、記載内容を見ると総務省がホームページ等で公表されていない解説が含まれている。地方交付税制度解説の発行者には一般社団法人地方財務協会の他、元総務省職員の氏名が記載されており、編集者には地方交付税制度研究会(以下「同研究会」という。)と記載されている。地方交付税制度解説の発行者である同協会の代表理事は元総務事務次官である。総務省が地方交付税の算出を仔細に公表していないために、現状では地方交付税制度の仔細を国民が知る手段は高額な地方交付税制度解説を購入するしかなく、これは地方交付税法の趣旨と反して極めて不合理な状況である。これらを踏まえ、地方交付税制度及び地方交付税制度解説について、以下質問する。 一 地方交付税制度解説の発行者である同協会または元総務省職員に地方交付税制度に関する情報提供や販売委託等の法的関係はあるか。法的関係がある場合はその詳細を示されたい。 二 地方交付税制度解説の編集者である同研究会に地方交付税制度に関する情報提供や販売委託等の法的関係はあるか。法的関係がある場合はその詳細を示されたい。 三 地方交付税制度の単位費用や補正係数の算出式詳細等、現在公表されていない地方交付税制度の算出等に係る情報を総務省のホームページ等で公表する事を禁ずる法令は存在するか。存在する場合は当該法令の詳細を示されたい。 四 前記三について、法令が存在しない場合、地方交付税法の趣旨を鑑みて、地方交付税の単位費用や補正係数の算出式等、現在公表していない地方交付税制度の仔細を政府が当然に自主的に公表すべきであり、地方交付税法に総務大臣の権限と責任において公表を義務付ける法改正をすべきと考えるが、政府見解如何。 五 地方交付税制度解説の発行元である同協会の代表理事が元総務事務次官であり、地方交付税制度解説が高額で販売されていることは問題ではないか。政府見解を伺う。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |