第212回国会(臨時会)
質問第七七号 政党法人格付与法にのみ裁判に基づく登記の嘱託に関する定めがないことに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月四日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 政党法人格付与法にのみ裁判に基づく登記の嘱託に関する定めがないことに関する質問主意書 会社法第九百三十七条には裁判に基づく登記の嘱託が定められ、同法同条第一項から第三項に定められた判決の確定等があった時に裁判所書記官は、職権でその登記を嘱託しなければならないとされている。同様に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百十五条には裁判に基づく登記の嘱託が定められている。また、組合等登記令では同令別表に定められた各法人等の裁判に基づく登記の嘱託が第十四条に定められている。しかしながら、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「政党法人格付与法」という。)には、会社法や組合等登記令に定められた裁判に基づく登記の嘱託に関する定めがなく、政党法人にのみ、法人登記に関する係争等によって裁判が起こされ、判決が確定しても裁判所書記官の職権による登記の嘱託が定められていない。他方、政党法人格付与法第十五条の三には商業登記法第十四条及び第十五条の準用が定められているが、これらはいずれも官庁の嘱託による登記を前提としたものであり、政党法人格付与法において、裁判に基づく登記の嘱託が条文で定められていないことは法律の瑕疵ではないかと推測できる。事実として、現在東京地方裁判所にて行われている政党法人に関する代表者登記変更等請求事件において、東京地方裁判所より千葉地方法務局へ送られた政党を被告とする変更登記請求を認容する確定判決の主文に関する照会事項に対し、千葉地方法務局は「政党法人格付与法第七条の二第二項には、「当該変更があったことを証する代表権を有していた者及び代表権を有するに至った者の記名押印した書面」と規定されているところ、旧代表者Aを被告とする確定判決によりこれに代替させることは法にも民事執行法その他の執行関連法令にも規定がなく、これを可能とする解釈も見当たりませんので、主文の内容に関わらず認められない」と回答しており、政党法人のみ、確定判決を以て登記の嘱託は行われず、間接強制によらざるを得ないこととされている。これらを踏まえて、以下質問する。 一 政党法人格付与法に裁判に基づく登記の嘱託が定められていないのは法律の瑕疵ではないか。政府見解を伺う。 二 政党法人格付与法に、判決の確定等をもって裁判所書記官の職権で登記変更を可能とするよう法改正をすべきと考えるが、政府見解如何。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。 右質問する。 |