第212回国会(臨時会)
質問第六七号 公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十一月二十四日 神谷 宗幣
参議院議長 尾辻 秀久 殿 公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書 公的機関の職員の国籍に関する質問主意書(第二百十二回国会質問第三一号、以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一二第三一号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。 本件答弁書の一についてによれば、国立研究開発法人産業技術総合研究所に採用されている外国籍職員百四十六人のうち中華人民共和国籍(以下「中国籍」という。)は四十一人、国立研究開発法人科学技術振興機構に採用されている外国籍職員十六人のうち中国籍は七人、国立研究開発法人物質・材料研究機構に採用されている外国籍職員百七十九人のうち中国籍は五十八人、国立研究開発法人理化学研究所に採用されている外国籍職員四百八十一人のうち中国籍は百三十八人となっている。すなわち、本件質問主意書で質問した国立開発研究法人四機関の全てで、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が最も多く(外国籍職員の三割から半数近く)、数そのものも突出して多くなっている。 この点、中国の国内法である「国家情報法」第七条には、「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」旨が記載されている。この規定により、日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、中国政府の情報活動に対して援助し協力する義務があることになる。さらに、中国の「国防動員法」に基づき動員令が発令された場合、在外中国人もその対象となることから、日本の公的機関に採用されている中国籍職員が中国政府の命令に服することに法理上はなる。我が国の国立研究開発法人四機関における中国籍職員が置かれている上記のような状況は、我が国の公的機関の運営、さらには日本の安全保障に有事はもとより平時においても、重大な支障をもたらす可能性があると考える。 以上を踏まえ質問する。 一 本件質問主意書で質問した国立研究開発法人四機関の全てにおいて、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が最も多く、数が他の国籍に比べて突出している経緯と理由を説明されたい。 二 もとより特定外国籍の職員が数的に突出して多く採用されることは不自然に思えるし、公務員が日本の国民に対する「全体の奉仕者」という性質を持つ以上、これは不適切と言えるのではないか。中国は現在、軍民融合発展戦略により科学技術を最大限軍事利用することを方針とし、また、日本の尖閣諸島周辺や南シナ海、中国南部国境地帯で力による現状変更の試みを継続・強化している。こうした現状で中国からその国民を我が国の公的機関に公務員として大量に採用することは適切だと考えるのか。政府の認識を示されたい。 三 日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、それが日本国民に対する「全体の奉仕者」である公務員であったとしても中国の公民(国民)である以上、同国の国家情報法や国防動員法に基づいて同国政府の命令に従う義務が生じると考えられるのではないか。日本政府において職務への責任を果たさせる上で、どのような対策が講じられているのか。 四 日本の公的機関における中国籍を含む外国籍職員が多数存在することによる日本の安全保障に与える潜在的なリスクをどのように評価しているのか。また、これらのリスクを軽減するための具体的な方策は何か。 五 日本の公的機関において、先端技術や基礎研究などに関わるものを含む機密情報にアクセスする可能性のある職員を選定する際、国籍や背景に基づく特別な考慮や基準が設けられているのか。 右質問する。 |