質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六一号

総額八百万円超の使途不明金不祥事が発生した認定NPO法人の代表が法務省やこども家庭庁の審議会委員であることの妥当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月二十一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   総額八百万円超の使途不明金不祥事が発生した認定NPO法人の代表が法務省やこども家庭庁の審議会委員であることの妥当性に関する質問主意書

 ひとり親を支援する認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(赤石千衣子理事長)は十一月二日、二〇一九年度からの四年間で計八百二万七千六百三円の使途不明金が生じていると発表した。

 同法人のリリースや報道によると、当時の会計担当者だった女性の関与が濃厚という。法人側は女性をすでに懲戒解雇し、刑事告訴の手続中とのことである。

 法人側の管理責任や社会的責任を問う声は強いと思われる。なぜなら、事業拡大で人員を増やした昨年五月まで会計は行方不明の女性一人に任せきりだったガバナンス上の欠陥もさることながら、同法人は税金や寄付など多額の支援を受けてきたからである。

 同法人が公表している決算報告(二〇二二年度)によると、前年度の助成金は約一億二千八百万円。その中には厚生労働省の「ひとり親家庭等自立促進基盤事業」や「ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業」など公的資金を原資としたものが含まれる。

 また、正会員による会費が十万円弱なのに対し、現金による寄付が約二億六千万円、現物寄付も約九千万円計上している。事業収益が約一億三千万円あるものの、東京都のひとり親支援事業など公的機関からの委託が多く、これも元を辿れば税金で運営されている。事実上、役所の「出先機関」とも言えるほどの公的な存在であると言える。

 元会計担当者個人の犯行であったとしても、赤石氏の管理責任が問われるのは仕方あるまい(自主処分として五か月間、減給二分の一を発表)。十月に更新するはずだった認定NPO法人の資格取得も困難になる見通しを認めている。

 赤石氏は法務省の法制審議会家族法制部会の委員であり、また子ども家庭庁のこども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会の委員でもあると承知している。

 今のところこれら委員の職務の去就について、リリースでも記者会見でも言及されていないが、「公職」を務め上げる適格性に疑義が生じている以上、自ら辞任するなり、法務省やこども家庭庁が解任させるべきであると考える。

 ところで、元読売新聞記者の新田哲史氏が、X(旧Twitter)上で十一月七日に次のようなコメントをしている。

 「政府の有識者会議の委員って、政治家の強いパイプがあって一度入り込んじゃうと、その委員がマネジメントする組織に致命的な不祥事があったとしてもスルーできちゃうんだね。政治家のお友達になるといいことばかりだね。法務省とかいう名前の省があるらしいけど所管は法務行政ってホントなのかな?」

 これらを踏まえた上で質問する。

一 法務省の法制審議会家族法制部会、子ども家庭庁のこども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会の委員にしんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石氏を選任した経緯と理由を伺う。

二 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石氏が法務省の法制審議会家族法制部会、子ども家庭庁のこども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会の委員であることの妥当性を伺う。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。