質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四七号

介護職員等の賃金引上げ額が最低賃金の引上げ額にも届いていないことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月十四日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   介護職員等の賃金引上げ額が最低賃金の引上げ額にも届いていないことに関する質問主意書

 政府は、令和五年十一月十日に閣議決定された令和五年度補正予算案(以下「補正予算」という。)の中で介護職員等の賃金を月額六千円引き上げることとしている。

 一方、今年度の最低賃金の引上げ額は全国の加重平均で時給四十三円となった。

 一日の労働時間を八時間、一箇月の労働日数を土日が休日で祝日のない月二十一日とした場合、この月の労働時間は百六十八時間になるが、この労働時間で最低賃金により勤務した場合の賃金を算出すると、最低賃金が四十三円引き上がったことによる賃金の増加額は月額七千二百二十四円になる。

 つまり、今回政府が行おうとしている介護職員等の賃金引上げ額月額六千円は最低賃金の引上げ額にも届いていない。

 そもそも、介護報酬は通常三年ごとに改定され、毎年行われる最低賃金の引上げや現下のような急激な物価の高騰に対応できる仕組みになっておらず、介護職員等の賃金引上げは各事業所の自助努力に委ねられている。

 もちろん、最低賃金が引き上げられたからといって、最低賃金以上の賃金を支給している事業所が賃金の引上げを行う必要があるわけではないので、最低賃金の引上げ額と同等にする必要はないことは理解しつつも、経済対策として行われる介護職員等の賃金引上げ額が月額六千円では全く不十分であると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 今回の補正予算における介護職員等の賃金引上げ額を決めるに当たって、現下の物価上昇や今年度の最低賃金の引上げは考慮されているのか。最低賃金の引上げ額にも届かない月額六千円とした根拠を示されたい。

二 介護報酬の改定が三年ごとに行われており、現下のような物価の高騰や毎年の最低賃金の引上げに適時に対応できる仕組みになっていない。三年ごとの介護報酬の改定を待たずに物価や賃金の上昇に合わせて適時に介護職員等の賃金が引き上がる仕組みを作る必要があると考えるが所見を伺う。

三 介護報酬における既存の介護職員処遇改善加算等の加算は、事業所から申請を行い、実績の報告が必要となる等、事業者の事務負担が過大である。事業者の事務負担軽減のためにも、介護職員処遇改善加算等の加算部分ではなく、そもそもの介護報酬の基本報酬部分を大幅に引き上げることが必要だと考えるが所見を伺う。

  右質問する。