質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四六号

福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)の配管清掃作業中に飛散した洗浄廃液を浴びた作業員に偽装請負の疑いがあることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月十三日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)の配管清掃作業中に飛散した洗浄廃液を浴びた作業員に偽装請負の疑いがあることに関する質問主意書

 令和五年十月二十五日に発生した、福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)の配管清掃作業中に作業員が飛散した洗浄廃液を浴びた事故に関し、東京電力が記者会見で説明を行っているが、作業に従事した作業員の所属や役割についての説明が二転三転している。

 事故直後である十月二十六日の記者会見では、現場にいた作業員五名は元請企業「東芝エネルギーシステムズ」の一次請一社の作業員と説明していたが、事故から五日経った後の記者会見で「一次請ではなく三次請三社の作業員」だと訂正した。

 東京電力が公表した当初の資料では作業員Cが洗浄廃液を浴びた作業員Aと一時的に交代した際に「作業員Aにアノラックを着用させなかった」と記載していたが、指揮命令系統のおかしさを指摘され、同月三十一日の記者会見で配付した資料では「作業員Aがアノラックを着用せずに作業をした」と表現を変更した。

 その後、各会社の作業班長は誰かと問われた東京電力はこれまで説明に現れていなかったFという作業員がもう一人いて当日は欠席していたと驚くべき説明に変更した。

 加えて、この作業員Fの代わりに二次請の工事責任者が作業班長として出ていたという偽装請負ではないかと疑われる説明がされた。

 以上踏まえて、以下質問する。

一 原子力規制委員会(原子力規制庁)及び厚生労働省は、元請企業、一次請、二次請、三次請の企業名を把握しているのか、作業員名簿、勤務表、作業手順書等を入手しているのか伺う。また、入手していない場合は入手すべきであると考えるが、見解を伺う。なお、入手する必要がないという判断をした場合はその理由を具体的に示されたい。

二 東京電力からの説明では偽装請負の疑いが拭いきれない。本件事案に関し、福島労働局は元請企業に対し作業員の所属や勤務状況、役割、指揮命令系統などの調査を行っているのか伺う。なお、行っていない場合は行うべきだと考えるが、見解を伺う。また、調査をしない場合はその理由を具体的に示されたい。

三 劇薬である硝酸を取り扱う作業では保護具の着用が必要だが、作業員は保護具を着用しないで作業に従事していた。これは労働安全衛生法違反の疑いがあり、この点について労働基準監督署による調査が必要だと考えるが労働基準監督署による調査は行われているのか伺う。なお、調査が行われていない場合はその理由を具体的に示されたい。

  右質問する。