質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四二号

DPC/PDPSにおける長期継続的に投与が必要で高額な治療薬の取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十一月十日

梅村 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   DPC/PDPSにおける長期継続的に投与が必要で高額な治療薬の取扱いに関する質問主意書

 平成十五年四月に診断群分類に基づく一日当たり定額報酬算定制度(以下「DPC/PDPS」という。)が導入されてから、二十年が経過した。導入以来、参加病院や対象病床が拡大するのと並行して、医療を取り巻く環境も大きく変化しており、とりわけ薬剤においてはバイオ抗体薬をはじめとするバイオ医薬品が数多く開発・承認され、遺伝子・ゲノム解析の進捗に伴い希少疾病や難治性の疾患の治療薬が数多く上市されるなどモダリティが大きく拡大し、治療の選択肢が広がるとともに高薬価の薬剤を使用する機会が大きく増えている。

 DPC/PDPSにおいては、長期継続的に投与が必要な高額な薬剤である、HIV感染症の患者に使用する抗HIV薬(以下「HIV治療薬」という。)と血友病等の患者に使用する遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤及び遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤(以下「血友病治療薬」という。)は包括評価の対象外であり、出来高算定できる取扱いとされている。医療資源を最も投入した傷病名により診断群分類を選択するDPC/PDPSにおいてこれら長期継続的に投与が必要な高額な薬剤を包括評価の対象とせずに出来高算定できる取扱いとすることは、患者が受ける医療の質を担保するために極めて重要である。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 DPC/PDPSにおいては、原則として薬剤費も包括評価に含むこととされている。しかし、HIV治療薬と血友病治療薬は包括評価の対象外とされ、出来高算定可能となっている。その理由は、HIV治療薬と血友病治療薬が、長期継続的に投与が必要な高額な薬剤であるためと理解しているが、その認識に間違いは無いか。長期継続的に投与が必要な高額な薬剤であること以外の理由があるならお示しいただきたい。

二 令和五年四月一日現在、一日薬価がHIV治療薬より高額な、長期継続的に投与が必要な薬剤は存在するのか。

三 令和五年四月一日現在、一日薬価が血友病治療薬より高額な、長期継続的に投与が必要な薬剤は存在するのか。

四 令和五年四月一日現在、一日薬価がHIV治療薬より高額な、長期継続的に投与が必要な薬剤であって、「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(令和四年三月十八日付け保医発〇三一八第二号。以下「留意事項通知」という。)の別添二「診断群分類定義表」(以下「定義テーブル」という。)において個別に対応コードが定められておらず、かつ包括評価に含まれることとされている薬剤は存在するのか。

五 令和五年四月一日現在、一日薬価が血友病治療薬より高額な、長期継続的に投与が必要な薬剤であって、留意事項通知の定義テーブルにおいて個別に対応コードが定められておらず、かつ包括評価に含まれることとされている薬剤は存在するのか。

六 HIV治療薬や血友病治療薬より高額となるにも関わらず、留意事項通知の定義テーブルにおいて個別に対応コードが定められておらず、出来高算定もできない、長期継続的に投与が必要な薬剤と、HIV治療薬や血友病治療薬との取扱いの差異の理由は何か。

  右質問する。