第212回国会(臨時会)
質問第四〇号 女川原発一号機の天井クレーンの支持台座亀裂に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十一月八日 川田 龍平
参議院議長 尾辻 秀久 殿 女川原発一号機の天井クレーンの支持台座亀裂に関する質問主意書 二〇二二年九月十二日に東北電力が公開した「女川原子力発電所の状況について(二〇二二年八月分)」において、「国への報告を必要としない「ひび」、「傷」等の事象として、一号機の原子炉建屋天井クレーンにおいて、走行部の支持台座にき裂を確認しました。」とし、「二〇二二年三月十六日の地震によりき裂が入ったものと推定いたしました。」と原因が記されていた。しかし、天井クレーンは安全上重要設備であるのに関わらずこの事故は未だに原子力規制委員会へ報告されていない。このことについて市民団体が東北電力に対し質疑を行っており、回答を得ている。以上に基づき、以下質問する。 一 今回の事故を国へ報告をしないことにした理由について、東北電力は「実用発電用原子炉の設置、運転に関する規則第百三十四条及び研究開発段階発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第百二十九条の運用について(訓令)」(以下「実用炉規則第百三十四条の運用に係る訓令」という。)Ⅱの三の3の運用上の留意点の②で「当該安全上重要な機器等又は常設重大事故等対処設備に属する機器等の使用中又は待機中に損傷が存在していないのであれば、安全上の影響はないので報告対象外である。」ことから、この条項を根拠に判断したと回答があった。 実用炉規則第百三十四条の運用に係る訓令Ⅱの三の1の目的には「安全上重要な機器等又は常設重大事故等対処設備に属する機器等がひび割れ等の損傷により一定の基準に適合していないと判断された場合は、安全に影響を及ぼす事象である場合があるため、報告を求めるものである。」と記載されており、この目的から見て天井クレーンの四つある全ての台座に各二つ合計八箇所き裂(最大で長さ約六十ミリメートル幅約一ミリメートル、深さ約十ミリメートル)が入っている事故は国への報告対象になるのではないか。 二 実用炉規則第百三十四条の運用に係る訓令Ⅱの三の3の運用上の留意点の②で「当該安全上重要な機器等又は常設重大事故等対処設備に属する機器等の使用中又は待機中に損傷が存在していないのであれば、安全上の影響はないので報告対象外である。」とあるが、現在一号機は廃炉作業の第一段階である。燃料プールの使用済燃料の取り出し移動などがあり、この観点からは廃炉作業の待機中の損傷であり報告対象になるのではないか。 三 このクレーン事故は二〇二二年三月十六日の地震により発生したものと推定されている。天井クレーンの支持台座は五百八十ガルで耐震補強したとのことであるが、その時一号機の地下二階の地震計は三百六十七・五ガル(震度五強)であった。五百八十ガルで補強されたクレーンが、三百六十七・五ガルの地震によりき裂が生じるのだろうか。原因究明がしっかりとなされていないのではないかと思われる。 他の電力会社の原発へクレーン事故の原因と対応など情報公開し教訓とするため、原因をあいまいにせず、国へ報告すべき事故と考えられるが見解を示されたい。 四 中部電力浜岡原発では「安全上重要な機器又は構築物でひび割れ等の軽度の故障があったとき、国、県、地元市等へお知らせする」ことになっているが、電力会社の国への報告に対する考え方が会社により異なっていてよいのか。 五 女川原発一号機の損傷した天井クレーン支持台座は交換することになっているが、安全上重要な施設の重要部の交換を国へ報告しないで行ってよいのか。交換する支持台座の耐震はいくらになっているのか。 六 女川原発二号機は安全審査が終了し来年五月再稼働ということで準備中である。一号機の天井クレーンにき裂が入ったのであるから、二号機三号機も同様な損傷を受けているはずであり、厳重に審査するべきではないか。 右質問する。 |