質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二七号

全国高等学校野球選手権大会いわゆる夏の「甲子園」を猛暑に開催することに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十月二十七日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   全国高等学校野球選手権大会いわゆる夏の「甲子園」を猛暑に開催することに関する質問主意書

 今年の夏は日本の平均気温が統計開始以来最高となる「史上最も暑い夏」であったが、例年と変わらずに今年も八月六日から八月二十三日の日程で第一〇五回全国高等学校野球選手権記念大会が開催された。

 猛暑の中での開催については、数年前から熱中症になる選手や観客が続出しているために疑問の声が上がっていた。しかしながら、今年の大会も開幕初日から熱中症の疑いで治療を受けた選手が出ているにもかかわらず、気温が三十五度を超える時間帯でも試合が続けられた。

 八月六日の開会式の時間の兵庫県の気温はおよそ三十二度、八月二十三日の決勝戦が行われた十四時から十六時五十分の気温は三十・二度から三十五・〇度だった。

 公益財団法人日本スポーツ協会が示している「熱中症予防のための運動指針」によると、暑さ指数(WBGT)三十一度、乾球温度三十五度以上は「運動は原則禁止」となっており、特に子どもの場合には中止すべきとの記載がされている。

 スポーツ庁も八月に各都道府県・指定都市スポーツ主管課に対して「スポーツ活動における熱中症事故の防止について(依頼)」を発出し、「活動の場所や種類にかかわらず、暑さ指数(WBGT)に基づいて活動中止を判断することも必要です」としている。

 大会の運営等に関しては主催者である朝日新聞社と日本高等学校野球連盟が主体的に判断するものではあるが、以上踏まえて、以下質問する。

一 地方予選も含めて夏の甲子園に関わる試合で熱中症を発症した選手、観客の数を把握しているのか。把握していない場合は調査すべきと考えるが政府の見解を伺う。

二 三十五度の猛暑の中で決勝戦が行われた八月二十三日に、文部科学省は各都道府県・指定都市教育委員会等に対して「休業日明けの時期等における熱中症事故の防止について(依頼)」を発出し、この中で「学校の管理下における熱中症事故は、多くが体育・スポーツ活動中に発生している」との認識を示している。大会の開催に支障が出ないようにこの日より前に発出することを控えたわけではないと考えるが、このような依頼を出した当日に活動を中止すべき気温の中で試合を行っていたことについて政府の見解を伺う。

三 主催者においても熱中症対策の必要性は認識しているようで、朝夕の「二部制」の検討もされていたが、本年度は導入を見送った。初日から熱中症の疑いで治療を受ける選手が出ていたにもかかわらず、時間の変更などを行わずに大会を強行した今回の大会での熱中症対策の適切性について政府の見解を伺う。

四 来年度以降も同じ時期に、同じ甲子園球場という屋外で大会を継続することについて政府としての見解を伺う。また、未来ある高校生である選手の命や健康を守る観点から、政府として主催者に開催場所、開催時間、開催時期等について見直しを図るよう求める考えや検討の有無を伺う。

  右質問する。