質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一四四号
  令和五年七月四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出在留特別許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出在留特別許可に関する質問に対する答弁書

一について

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和五年法律第五十六号)による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「改正後入管法」という。)第五十条第二項に規定する在留特別許可は、改正後入管法第二十四条に規定する退去強制事由に該当する外国人について、法務大臣の裁量の範囲内で在留を特別に許可するものであることから、改正後入管法第五十条第四項においては、当該外国人が退去強制事由に該当することが確定した時期、すなわち当該外国人が改正後入管法第四十七条第三項の認定若しくは改正後入管法第四十八条第八項の判定に服し、又は法務大臣が改正後入管法第四十九条第三項の規定により異議の申出が理由がないと裁決した後、でなければすることができないこととしたものである。

二について

 改正後入管法においては、在留特別許可の申請手続を創設するなど、退去強制手続を執られる外国人に、在留特別許可の許否の判断に当たり考慮すべき事情について十分な主張の機会を確保しており、その上で在留が認められず退去強制令書の発付を受けた者については、迅速に送還すべきであることから退去強制令書の発付後の在留特別許可の申請は認めないこととしたものであるが 、御指摘の「専門部会の報告書の提言」に対しては、法務大臣の職権による在留特別許可により適切に対応することを考えている。

三について

 改正後入管法第五十条は、在留特別許可の申請手続を設けるとともに、その許否の判断に当たり考慮すべき事情を法律上明確にするなどして、退去強制手続を執られる外国人に当該事情について十分な主張の機会を保障するものであるが、在留特別許可をするか否かについては、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して判断することとなるので、一概にお答えすることは困難である。

四について

 お尋ねの「新たなガイドライン」については、その具体的な内容を現在検討しているところであるが、改正後入管法の趣旨を踏まえ、在留特別許可の考慮事項については、御指摘の「今のガイドライン」よりも明確に示すこととしている。