質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一四二号
  令和五年七月四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出送還時に弁護士への通信を申し出た場合の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出送還時に弁護士への通信を申し出た場合の対応等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「柔軟な解釈」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「送還実施に当たっての留意事項について(指示)」(令和三年六月十七日付け入管庁警第八十二号出入国在留管理庁出入国管理部長通知。以下「本通知」という。)において、審査請求(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の九第一項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第六十九号)第七十五条の規定による改正前の入管法第六十一条の二の九第一項の異議申立てを含む。)についての裁決(同条第四項の決定を含む。)の通知を受けた被退去強制者の送還の実施に当たって、当該被退去強制者が退去強制令書発付処分取消請求訴訟の提起等を目的として弁護士への通信を申し出た場合には、当該通信の相手方である弁護士が当該被退去強制者の訴訟代理人であることなどについて必要な確認を行った上で通信を許可するなどとしているところ、被退去強制者の送還手続の開始後は、当該被退去強制者が逃亡等を図る動機が飛躍的に高まる上、空港等への移動の際には、収容施設内にいるときと比較し、設備上及び入国警備官の体制上の制約があることから逃亡等の危険が高まるため、外部との通信を無制限に許可することは、保安上の支障の観点から相当ではなく、御指摘の「要件の削除」をすることは適当ではないと考えているが、被退去強制者の司法審査を受ける機会への配慮から、 送還に従事する入国警備官においては、個別具体的な状況を踏まえ、弁護士への通信の許否を判断しているところである。

三について

 御指摘の「柔軟な解釈を可能にするための取組」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本通知においては、被退去強制者と弁護士との通信の結果、実際に退去強制令書の執行停止申立ての動きが具体的に整っていることが確認できる場合には、執行停止決定の事実がなくとも送還の中止を具体的に検討するなどとしているところ、被退去強制者の司法審査を受ける機会への配慮から、送還に従事する入国警備官においては、個別具体的な状況を踏まえ、判断が困難な場合には、出入国在留管理庁本庁に連絡するなどしつつ、送還の中止の判断を行っているところである。