質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一三六号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出「難民該当性判断の手引」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出「難民該当性判断の手引」に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「今までの難民認定の基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「難民該当性判断の手引」(令和五年三月二十三日付け入管庁入第六百五十四号出入国在留管理庁長官通知)は、我が国の実務上の先例や裁判例を踏まえ、また、諸外国の実務等も参考にしつつ、難民に該当するか否かの判断において考慮すべきポイントを整理するなどしたものであり、これまでの難民に該当するか否かの判断を変えるものではなく、難民認定数を増加させることを意図しているものではないが、難民に該当するか否かの判断において考慮すべきポイントが整理され公表されたことにより、これを踏まえた難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十一条の二第一項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)が行われることは予想されるところであり、その結果として、迅速な難民認定につながる可能性はあるものと考えている。

二について

 「難民該当性判断の手引」は、御指摘の「その他の人権の重大な侵害」に関する具体例も含め、我が国の実務上の先例や裁判例を踏まえ、また、諸外国の実務等も参考にしつつ策定したものであり、「難民該当性判断の手引」の内容は今後も更新され得るものであるところ、御指摘の点も含め、その内容について、今後検討してまいりたい。

三について

 難民認定申請があった場合は、難民認定申請の内容により個別に審査し、難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和五十七年条約第一号)第一条の規定により難民条約の適用を受ける者を、難民と認定することとなるところ、その際に確認することとなる各国の情勢や難民認定申請をした者の事情は多様であり、変化し得るものであることから、そもそも一律かつ定型的に判断できる程度に明確かつ具体的な基準を定めることは困難であり、御指摘の「難民認定の基準を法律上規定する」ことは適当ではないと考えている。