質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一三三号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出送還忌避者の定義に該当する対象に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出送還忌避者の定義に該当する対象に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、「送還忌避者」とは、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、本邦からの退去を拒んでいる者全般を指して用いている用語であり、例えば、退去強制令書発付後に難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第一項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)又は審査請求(入管法第六十一条の二の九第一項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第六十九号)第七十五条の規定による改正前の入管法第六十一条の二の九第一項の異議申立てを含む。)を行った者なども含まれる。

 後段のお尋ねについては、御指摘の令和五年五月十二日の参議院本会議における齋藤法務大臣の答弁は、入管法第二十四条各号に掲げる退去強制事由のいずれかに該当する疑いのある外国人について退去強制令書を発付するに当たり、その者が難民認定申請を行っている場合には、当該申請に対する審査を経て、難民に該当しないと判断した上で退去強制令書を発付することとして、保護すべき者は適切に保護していることを答弁したものであり、御指摘は当たらない。

二について

 退去強制令書の発付を受けた者は、我が国から速やかに退去すべきであるが、その後も在留資格がないまま事実上滞在を続けた結果、退去強制令書の発付後の事情の変更により、難民に該当する又は在留を特別に許可すべき事情があると認められるに至ることもあるところであり、御指摘の令和五年五月十二日の参議院本会議における齋藤法務大臣の答弁も、当然、そのような者が存在することを前提としたものである。

三について

 御指摘の「難民保護の姿勢に逆行するもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてでお答えしたとおり、入管法第二十四条各号に掲げる退去強制事由のいずれかに該当する疑いのある外国人について退去強制令書を発付するに当たり、その者が難民認定申請を行っている場合には、当該申請に対する審査を経て、難民に該当しないと判断した上で退去強制令書を発付することとして、保護すべき者は適切に保護しているところ、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、本邦からの退去を拒んでいる者全般を指して「送還忌避者」と呼ぶことが不適当であるとは考えていない。