質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一三二号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出難民認定基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出難民認定基準に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「「事実認定の留意事項」には灰色の利益は含まれるのか。」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「調査における事実認定に係る留意事項」は、御指摘の「難民認定基準ハンドブック」の記載も参考にしつつ、難民認定事務取扱要領(平成十七年五月十三日付け法務省管総第八百二十三号法務省入国管理局長通知。以下「要領」という。)に記載したものであり、要領において「申請者に課せられた立証責任に関しては、申立事実について、合理的な疑いを容れない程度の証明がなされなければならないと解されるところ、難民認定手続という特性上、申請者の供述の一部に疑義があるとしても、申請者の供述が全体として上記の程度に信ぴょう性があるものと認められるときは、申請者の申立事実を認定すべきである。」としている。

一の2について

 御指摘の「事実認定の基準」及び「「こういう考え方がある」と紹介した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、要領においては、「難民認定手続の特性を踏まえて、申請者の申立事実を認定する上で留意すべき事項」を「調査における事実認定に係る留意事項」として明記している。なお、難民認定手続においては、御指摘の「難民認定基準ハンドブック」を含む国連難民高等弁務官事務所発行の諸文書を必要に応じて参照しつつ、難民認定申請者の置かれた状況について配慮し、様々な事情を総合的に考慮して適切に審査を行っている。

一の3について

 お尋ねの「参与員への対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「難民認定基準ハンドブック」を難民審査参与員に配付している。

二について

 お尋ねの「難民認定基準として個別把握説を否定している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「難民該当性判断の手引」(令和五年三月二十三日付け入管庁入第六百五十四号出入国在留管理庁長官通知)において、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」について、「申請者が、その属性や活動を理由として、迫害主体から個別的に認知(把握)されていると認められる場合、そのことは、本要件の該当性を判断する上で積極的な事情となり得るが、そのような事情が認められないことのみをもって、直ちに申請者が迫害を受けるおそれがないと判断されるものではない」としており、難民認定業務に携わる職員や難民審査参与員に対して、説明会等を通じて、同手引の内容について周知を図っている。