質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一二五号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出撮影罪の現場での運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出撮影罪の現場での運用に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「乗務員の職務を妨げるなど、航空法上の安全阻害行為等に該当する場合」については、その態様は様々であり、個別の事案に応じて異なることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば、盗撮行為によって乗務員が対応を余儀なくされることにより、その職務を行うことを妨げられる場合が考えられる。

二について

 御指摘の「撮影罪を犯した、ないし犯そうとした行為の違法性自体を根拠に、悪意を持った、あるいは、専ら性的関心に基づく客室乗務員の無断撮影行為を直接的に「安全阻害行為」として明示的に位置付けること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案に対する附帯決議」(令和五年六月十五日参議院法務委員会)の一において、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、アスリートや客室乗務員等に対する盗撮が社会問題となっている実情を踏まえ、正当な理由がないのに、性的姿態等以外の人の姿態又は部位(衣服により覆われているものを含む。)を性的な意図をもって撮影する行為等を規制することについて検討を行うこと」とされていることを踏まえ、御指摘の「客室乗務員の無断撮影行為」に対する規制の在り方も含め、今後検討してまいりたい。

三及び四について

 三の前段のお尋ねについては、御指摘の「性的姿態に対する無断撮影行為が行われた十分な疑いがある場合」及び「疑わしい行為をした者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「データチェック等」については、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)において明示的な定めはないものの、航空機内における盗撮行為が確認された場合には、乗務員が撮影された写真等のデータを確認することについて、任意の協力を求めることが可能な場合もあると考えており、実際に、そのような事例もあると承知している。

 三の後段のお尋ねについては、御指摘の「疑わしい行為をした者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同法第七十三条の四第一項の規定により、機長は、航空機内にある者が、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者を拘束することができるとされている。また、お尋ねの「司法当局に引き渡す等が可能なのか」については、事案発生時において、捜査当局を含め関係機関の緊密な連携の下で、適切に対応することとしている。