質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一一九号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出被告人等の逃亡防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出被告人等の逃亡防止に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 お尋ねの「保釈が認められにくくなる可能性」及び「保釈や勾留の執行停止の許可に対して、どのような影響を与える」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、保釈や勾留の執行停止については、裁判所において、個別の事案ごとに、当該事案に係る事情を総合的に考慮して判断されるべき事柄であると考えている。

一の3について

 お尋ねの「どのような関係にある場合に増額となり、あるいは減額される」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、監督保証金額を定めるに当たっては、裁判所において、個別の事案ごとに、当該事案における被告人との関係その他の事情を考慮することとなると考えている。

二について

 お尋ねの「保釈中の被告人の制限住居離脱罪の創設について、制限住居の離脱による法益侵害が果たしてどれほどあると判断しているのか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和五年法律第二十八号)による改正後の刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第九十五条の三の罪は、裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈された被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しない行為等を処罰対象とするものであるところ、当該行為は、公判審理の確保等を目的とする国家の潜在的な拘禁作用を侵害するものであると考えられ、これを抑止するためには、保釈の取消し及び保証金の没取では不十分であり、罰則を設ける必要があると考えている。

三について

 検察当局においては、「保釈等を取り消された被告人」を収容することとなる場合においては、個別の事案ごとに、対象となる被告人の属性、当該事案の性質等の様々な事情を踏まえ、検察事務官、司法警察職員、刑事施設職員のいずれを検察官が指揮するかを適切に判断した上で、収容計画を策定し、十分な収容体制を構築するなどしているものと承知している。