質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一一三号
  令和五年六月二十七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員川田龍平君提出「第十回特定原子力施設の実施計画の審査等に係る技術会合」の配付資料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出「第十回特定原子力施設の実施計画の審査等に係る技術会合」の配付資料に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「原子炉倒壊」には様々な状況が考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、先の答弁書(令和五年五月十九日内閣参質二一一第七〇号。以下「前回答弁書」という。)でお答えしたとおり、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所一号機の原子炉格納容器(以下「格納容器」という。)内は放射線量が高く、さらに、同号機の原子炉建屋内も放射線量が高いため、政府として現時点では、同号機の原子炉圧力容器(以下「圧力容器」という。)を支持する構造物の補強等による御指摘の「倒壊防止策」を「講じる」ことは困難であると考えている。

二について

 御指摘の「RPV倒壊」及び「原子力重大事故」には様々な状況が考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、万一、格納容器内のペデスタル(以下「ペデスタル」という。)の圧力容器を支持する機能が喪失した場合においても、このことによる環境への影響をできる限り小さくするため、御指摘のように「様々な分野の専門家」から構成する原子力規制委員会としては、令和五年五月二十四日に開催された令和五年度第十二回原子力規制委員会において、東京電力に対して実施を求める事項について検討を行い、東京電力に対して、ペデスタルの圧力容器を支持する機能が喪失したという前提の下、圧力容器を含む上部構造物が沈下し格納容器に新たな開口部が生じるという環境への影響の観点から厳しい条件における環境へのダスト飛散による影響評価の実施、環境へのダスト飛散に対して取り得る対策(以下「取り得る対策」という。)の検討及び圧力容器が沈下した場合の構造上の影響に関する評価(以下「構造上の影響評価」という。)の実施を指示したところである。

三について

 御指摘の「原子炉方位二百二十度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二についてで述べたとおり、構造上の影響評価を東京電力に指示しているところであり、現時点において、御指摘の「使用済み燃料プール(SFP)側」であるか否かを含め、原子力規制委員会として、お尋ねの「RPVがどの方向に倒壊するか」について見解を示すことは困難である。

四について

 御指摘の「原子炉建屋はRPVの衝突に対しても耐えられる」及び「地震応答解析」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、これまで、東京電力において、御指摘のように「RPVがPCVに当たり、PCVを突き破り、RPVが百mm外側にある原子炉建屋に衝突」するとの評価は行っておらず、また、技術研究組合国際廃炉研究開発機構において、御指摘のように「RPVが原子炉建屋に転倒すると原子炉建屋は耐えられない」との評価は行っていないと承知しており、これらの評価が存在することを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

 前回答弁書でお答えしたとおり、格納容器の内部については、放射線量が高く詳細な調査を行うことが困難であることから、御指摘の「PCVが割れることもあり得る」か否かを含め、お尋ねの「脆性破壊に対する」「検討」を行うことは困難であると考えている。

六について

 お尋ねの「PCVに」「穴が空く場合の対策」については、東京電力において、御指摘のような「原子炉圧力容器(RPV)が倒壊し、原子炉格納容器(PCV)に最大百mmの穴が空く」との想定に基づいて検討されているものではないが、御指摘のような「百mm以上」の穴が空く場合を含め、取り得る対策の中で検討しているものと承知している。