質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第一一二号
  令和五年六月二十七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出社会保障費と財政面での政府による総合的な調整に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出社会保障費と財政面での政府による総合的な調整に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、お尋ねのとおりである。

 また、後段のお尋ねについては、「中長期の経済財政に関する試算」(令和五年一月二十四日経済財政諮問会議提出。以下「中長期試算」という。)は、令和十四年度までの試算を行っている。

二について

 お尋ねの「中長期試算のような経済財政に関する推計又は試算」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、中長期試算のように今後十年程度を対象とした経済財政に関する推計又は試算で閣議決定を行っているものはない。

 なお、「令和五年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(令和五年一月二十三日閣議決定)において、令和四年度及び令和五年度の経済成長率や物価上昇率など、我が国経済の見通し等についてお示ししている。

三について

 お尋ねの「財政面において歳入と歳出の総合的な調整を行う仕組み」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済財政諮問会議における調査審議を通じて、内閣の当面の経済財政政策上の重要課題と改革の方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針」(以下「基本方針」という。)が策定されており、中期的な経済財政運営について、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定)においては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)に盛り込まれた新経済・財政再生計画等で定めた経済財政の枠組みに沿って、経済再生と財政健全化の同時達成を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしているところである。その上で、毎年度の予算編成に当たっては、基本方針の下、同会議として翌年度予算の全体像を示した上で、概算要求基準が閣議了解されており、これを踏まえ各府省庁等が概算要求を行い、また、翌年度予算の基本的な考え方を明らかにする「予算編成の基本方針」を踏まえ、翌年度予算が閣議決定されているところであり、予算編成過程を通じて、歳出歳入両面の調整を行っている。

四について

 お尋ねの「厚生労働省の社会保障費の試算」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「二千四十年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(平成三十年五月二十一日内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省作成。以下「社会保障の将来見通し」という。)及び「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(令和元年八月二十七日厚生労働省作成。以下「年金財政検証」という。)については、中長期試算における推計に当たって、社会保障の将来見通しにおける推計結果は用いていない一方、年金財政検証における年金受給者数等の推計結果を用いている。

 また、「前記三に示された推計又は試算に用いられているか」とのお尋ねについては、その意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国家財政又は社会保障に係る、御指摘の「十年以上先の中長期的な見通しの試算又は推計」については、例えば、内閣府において、経済再生と財政健全化の進捗状況を評価するとともに、今後の取組に関する検討に必要な基礎データを提供することにより、経済財政諮問会議における審議に資することを目的とした「中長期の経済財政に関する試算」、厚生労働省において、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の規定に基づき、少なくとも五年ごとに、その時点における社会経済状況の下で年金財政の健全性を定期的に検証することを目的とした「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」並びに内閣官房、内閣府、財務省及び厚生労働省において、社会保障の給付と負担の姿を幅広く共有するための議論の素材を提供することを目的とした社会保障の将来見通しを、それぞれ作成している。