質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第九九号
  令和五年六月二十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員山本太郎君提出新型コロナワクチンによる副反応疑い報告制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出新型コロナワクチンによる副反応疑い報告制度に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「副反応報告基準」に「該当する症状・・・以外の症状が報告された件数」については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第九十六号)による改正前の予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)附則第七条第一項の規定による新型コロナウイルス感染症に係る予防接種が開始された令和三年二月十七日から令和五年三月十二日までの間における予防接種法第十二条第一項の規定並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第六十八条の十第一項及び第二項の規定により医師等から厚生労働大臣に行われた報告(以下「副反応疑い報告」という。)における死亡事例について取りまとめた令和五年四月二十八日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の資料一―三―一から一―三―五までにおいて、「報告医が死因等の判断に至った検査」及び「因果関係(報告医評価)」の欄において、解剖が実施され、報告医が因果関係があると評価したと記載されている五十五例のうち、「定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」(平成二十五年三月三十日付け健発○三三○第三号・薬食発○三三○第一号厚生労働省健康局長及び医薬食品局長連名通知)別紙様式一の報告基準(以下「報告基準」という。)に掲げる症状(報告基準の「左記の「その他の反応」を選択した場合の症状」の欄(以下「その他症状欄」という。)に掲げるaからwまでの症状を含み、xにより記載される症状を除く。以下同じ。)以外の症状が報告されたのは三十八例である。

二について

 一についてでお答えした三十八例において報告された報告基準に掲げる症状以外の症状について、「ICH国際医薬用語集日本語版」の用語を用いて、そのままお示しすると、以下のとおりである。

 胃腸出血

 壊死性血管炎

 黄疸(だん)

 横紋筋融解症

 外傷性ショック

 肝梗塞

 肝挫傷

 冠動脈狭窄(さく)

 急性呼吸窮迫症候群

 急性心不全

 胸部不快感

 虚血性壊死

 虚血性心疾患

 虚血性大腸炎

 くも膜下出血

 頸(けい)椎骨折

 血球貪食性リンパ組織球症

 血栓症

 血栓性微小血管症

 結膜出血

 抗アクアポリン四抗体陽性

 梗塞

 硬膜下血腫

 誤嚥(えん)性肺炎

 呼吸不全

 サルコイドーシス

 出血性ショック

 循環虚脱

 小腸出血

 腎機能障害

 心筋虚血

 心筋梗塞

 心筋症

 腎梗塞

 心室細動

 心静止

 心タンポナーデ

 腎動脈血栓症

 心突然死

 心肺停止

 心不全

 腎不全

 頭蓋内出血

 塞栓症

 第Ⅴ因子欠乏症

 大動脈解離

 多臓器機能不全症候群

 多臓器障害

 多臓器不全

 腸管拡張症

 低酸素性虚血性脳症

 動脈血栓症

 動脈塞栓症

 突然死

 脳虚血

 脳出血

 脳動脈炎

 脳ヘルニア

 肺うっ血

 肺炎

 肺気腫

 敗血症

 敗血症性ショック

 肺出血

 肺水腫

 肺動脈血栓症

 肺胞出血

 発熱

 腹腔(くう)内出血

 不整脈

 リンパ球浸潤

 リンパ腫

 肋(ろつ)骨骨折

三及び四の3について

 御指摘の「副反応報告基準に該当する症状以外の症状」や「副反応報告基準に追加」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、「副反応報告基準に該当する症状以外の症状」が報告基準のその他症状欄に掲げるxにより記載される症状を、「症状を副反応報告基準に追加」が当該症状を報告基準に明示的に記載することを意味するものであるとすれば、報告基準のその他症状欄に掲げるxにより記載される症状を報告基準に明示的に記載するに当たっては、予防接種法第十二条第一項の定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状を定める厚生労働省令の改正を要する場合は、同法第二十四条の規定に基づき、厚生科学審議会の意見を聴くこととされていることを踏まえ、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、報告基準のその他症状欄に掲げるxにより記載される症状が添付文書において「重大な副反応」として記載されている症状又は添付文書において「重大な副反応」と記載されていない症状のうち重篤になる可能性があるものであるかについて議論を行い、結論を得ることとしているところ、現時点において、同部会においてこうした議論は行われておらず、報告基準のその他症状欄に掲げるxにより記載される症状を報告基準に新たに明示的に記載する予定はない。

四の1について

 予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度において、給付の請求は請求者から市町村に対して行い、給付は厚生労働大臣の認定に基づいて市町村が行うこととされているため、厚生労働省において死亡一時金の給付件数は把握していないが、死亡一時金について同大臣が認定を行った件数は、令和五年五月二十六日時点で、六十五件である。

四の2について

 お尋ねの「死亡一時金が認められた事例のうち、副反応報告基準に該当する症状以外の症状(併発の場合も含む。)で報告された死亡事例の件数と症状」については、予防接種健康被害救済制度は個々の健康被害の事例について迅速な救済を図ることを目的としている一方、副反応疑い報告の仕組みでは収集した情報からワクチンの安全性に係る評価及び分析を行うことを目的としており、予防接種健康被害救済制度における厚生労働大臣の認定に係る疾病名又は障害名の定め方と、副反応疑い報告における疾病名又は症状名の定め方が異なるため、お尋ねの「死亡一時金が認められた事例」と「報告された死亡事例」を単純に比較することは困難であり、正確かつ網羅的にお答えすることは困難である。