質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第八四号
  令和五年六月九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出岸田首相が掲げた花粉症対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出岸田首相が掲げた花粉症対策に関する質問に対する答弁書

一について

 花粉症に関する関係閣僚会議の構成員は、内閣官房長官、農林水産大臣、環境大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣である。また、令和五年五月三十日の同会議において決定した「花粉症対策の全体像」(以下「花粉症対策の全体像」という。)においては、「花粉症対策の三本柱」として、「発生源対策」、「飛散対策」及び「発症・曝露対策」が盛り込まれており、これらを速やかに実行していくこととしている。

二について

 花粉症は、スギ、ヒノキ等の花粉をアレルゲンとするアレルギー疾患である。また、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が約二万人を対象として実施したアンケート調査によると、令和元年で、花粉症全体の有病率は四十二・五パーセント、スギ花粉症の有病率は三十八・八パーセントとなっており、花粉症患者全体のうち、スギ花粉症を有する患者の割合は約九割であると推計している。お尋ねの「スギの植え替えが進めば国民の花粉症はどのくらいの割合で改善すると分析しているか」については、花粉症対策の全体像において、「十年後の令和十五年度(二千三十三年度)には花粉の発生源となるスギ人工林を・・・約二割減少させることを目指」すとしているところであるが、花粉症を発症しやすくさせ、又は症状を悪化させる要因としては、様々なものが指摘されていることから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

 二についてで述べたとおり、花粉症を発症しやすくさせ、又は症状を悪化させる要因については、御指摘の「黄砂やPМ二・五」のほかにも様々なものが指摘されており、患者ごとに重複し得るため、その特定は困難である。一方で、飛散する花粉が花粉症を発症させる要因の一つであることは明らかであることから、花粉症対策の全体像においては、御指摘の「原因物質の排除」の観点から、「スギ材の需要拡大や花粉の少ないスギ苗木の増産、必要な林業労働力の確保等の総合的な対策を推進することにより、スギ人工林の伐採・植替えを加速化する」といった「発生源対策」とともに、「業界団体による花粉対策に関する認証制度について、各関連業界と連携し、消費者への認知拡大と取得製品の拡大・普及を図り、花粉曝露対策に資する商品の質の見える化と活用を推進する」ことや、「花粉症予防行動について、(中略)日常生活における具体的な注意点を分かりやすくまとめたリーフレットを、令和五年中に作成し、自治体、関係学会等と連携して国民に広く周知する」ことといったばく露対策を盛り込んでいるところである。また、お尋ねの「免疫力の向上」の意味するところが必ずしも明らかではないが、花粉症対策の全体像においては、「発症・曝露対策」として、花粉症に対する治療のうち、「アレルゲン物質を薬剤にして定期的に投与することで、アレルギー症状を出にくくする治療法であ」る「アレルゲン免疫療法」について、「適切な情報提供の推進や広報」や、「舌下錠を用いた舌下免疫療法については、年間の治療薬供給量を、今後五年以内に、現在の約二十五万人分から約百万人分へと増加させるべく、森林組合等への協力要請、企業への増産に向けた要請等」の取組を盛り込んでいるところである。

四について

 お尋ねについては、例えば、花粉の少ないスギの品種の開発に時間を要したなどの理由から、花粉の少ないスギ苗木の生産拡大が必ずしも十分でなかったことなどが要因として考えられる。

五について

 お尋ねについては、花粉症対策の全体像において、「林業労働力の大幅な減少傾向に歯止めをかけ、十年後においても、現在と同程度の労働力が確保されるよう、外国人材の受入れ拡大のほか、新規就業者の確保・育成、処遇の改善、農業など他産業との連携、地域おこし協力隊との連携などに取り組む」としているところである。