質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第八一号
  令和五年六月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問に対する答弁書

一について

 文部科学省が実施した「大学における教育内容等の改革状況調査(令和二年度実績)」によると、御指摘の「前文で示した我が国の大学」に対しては、北京航空航天大学から徳島大学に九人、南京航空航天大学から東北大学に四人、千葉大学に二人及び高知大学に五人、西北工業大学から千葉大学に二人、ハルビン工業大学から新潟大学に一人、名古屋大学に一人及び会津大学に一人、北京理工大学から千葉大学に三人及び東京工業大学に二人並びに南京理工大学から京都情報大学院大学に一人及び福岡工業大学に八人の留学生が派遣されていると承知している。

二について

 大学における教育研究活動の実施については、留学生の研究内容も含め、各大学の自主的・自律的な判断に委ねられるべきものであるため、お尋ねの「国防七校から我が国の大学に留学した者が、留学先の大学で研究した内容」及び「修了論文などのアブストラクトのリスト」については、政府として網羅的に把握していない。

三について

 御指摘の「声明」については、日本学術会議が独立して行う職務の一環として発出されたものであり、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。

四について

 御指摘の「外国ユーザーリスト」は、経済産業省が、大量破壊兵器等の開発等に関与している懸念が払拭されないと判断した団体を選定し、公表しているものであるが、お尋ねの南京航空航天大学及び南京理工大学を含め、個別の団体の掲載の理由及び今後の掲載可能性については、安全保障に係る輸出管理の実施に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

 なお、当該リストに掲載されていないことをもって、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第一項に規定する経済産業大臣の許可が不要となるわけではない。

五について

 文部科学省においては、我が国の大学や研究機関(以下「大学等」という。)に対し、経済産業省作成の「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)」(以下「本ガイダンス」という。)を周知する等のための文書を発出し、本ガイダンスに沿って、留学生の受入れ、当該受入れに伴う技術の提供等について安全保障に関連する機微技術の管理に関する具体的な手続を定めるよう指導するとともに、当該技術の管理に関する説明会を開催する等して、大学等において当該技術の管理が徹底されるよう施策を講じてきたところである。