質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第八〇号
  令和五年五月三十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国における外国人による土地取得に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国における外国人による土地取得に関する再質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)を援用することで、GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、自国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)を規制することは現状で可能である」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で申し上げれば、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定その他の多数国間条約の締約国が自国における外国人による土地取得を規制することがこれらの条約に整合的であるか否かについては、当該締約国が負っている当該条約上の義務や具体的な規制の内容によることから、一概にお答えすることは困難である。

 また、お尋ねの「各国における外国人による土地取得規制の現状」については、他国の制度に関するものであり、その詳細を承知していない。なお、米国、英国、オーストラリア、韓国及びフランスについては、先の答弁書(令和五年四月四日内閣参質二一一第四二号)三の1についてで述べたとおりである。

二の1について

 お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制することを可能とする」及び御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定が「留保」を付すことを許容しており、かかる「留保」により本件土地取得の規制を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。

二の2について

 お尋ねの「現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を援用して本件土地取得に係る規制を行うことが可能である」及び御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を既に付していて本件土地取得の規制を現在行うことができる状態」の意味するところ並びにお尋ねの「本件土地取得に係る規制」及び御指摘の「本件土地取得の規制」の具体的内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の3について

 お尋ねの「本件土地取得の規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を行う」並びに御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を付しておらず本件土地取得の規制ができない状態」及び「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に新たに「留保」を付して本件土地取得の規制を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。

二の4について

 御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定に付した「留保」を援用することにより(もし現在は日本がかかる留保を付していないのであれば、今後かかる留保を付すことにより)、我が国における外国人による本件土地取得を規制すべき」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

三の1について

 国土交通省が令和二年度に我が国の建設業及び不動産業の海外展開を促進する観点から委託調査した結果、中国における土地の所有については、全ての土地が国家所有又は農民の集団所有に属するとされており、外国人も含むその他の主体が中国の土地の所有権を取得することは想定されていないこと等を把握しており、その内容については、同省のウェブサイトに掲載している。

三の2について

 お尋ねの「B国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」をA国に対して主張することで土地取得の規制をA国人に対して行う」及び御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定に関して、「相互主義」を主張することで本件土地取得の扱いを自国と相手国で均衡がとれた状態にする」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

三の3について

 お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を主張することにより本件土地取得に係る規制を行う」及び御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を根拠として日本国内におけるC国人による本件土地取得を規制する」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

四の1について

 お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上、日本が「相互主義」を援用できないことで本件土地取得の規制が実施できず」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

四の2について

 お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することでかかる規制を実施する」及び御指摘の「今は日本が相互主義を主張して本件土地取得を規制することができないとされた場合でも、今後日本が「相互主義」を主張することで、F国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はF国民が日本において本件土地取得を行うことを規制していないといった扱いが異なる状態を、日本とF国の両国ともに相手国民による本件土地取得を制限する状態(双方の本件土地取得に係る扱いが同じになる状態)」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

四の3について

 お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定に関わる「相互主義」を主張して本件土地取得の規制を行い、本件土地取得の扱いに関して公平を図る」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「我が国が本件土地取得に関してGATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。