質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第七五号
  令和五年五月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出日本政府の半導体政策に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出日本政府の半導体政策に関する再質問に対する答弁書

一並びに二の1、3並びに4の(一)、(二)及び(四)について

 御指摘の「政策の立案・決定プロセス」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済産業省においては、半導体に係る政策の検討に際し、半導体の国際的な需給の動向等について、各種の統計等の公表資料の他、公表しないことを前提として行う事業者や外国の政府機関等との情報交換等を通じて、適切に把握しているところである。また、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)第十一条第一項の認定(以下「認定」という。)に際しては、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等の促進に関する指針(令和二年総務省・財務省・経済産業省告示第一号)に基づき、「特定半導体が国内外の需給状況に照らして過剰生産とならないよう配慮」することとしており、当該認定の申請に係る特定半導体(法第二条第四項に規定する特定半導体をいう。以下同じ。)の中長期的な需給について勘案している。

 また、先の答弁書(令和五年四月十八日内閣参質二一一第五一号)二の3についてで述べたとおり、法は、認定を受ける事業者がいずれの国の事業者であるかを問うものではないところ、御指摘の「外資系企業」であっても、我が国において特定半導体の生産施設等を整備し、生産を行うことは、半導体製造装置や半導体材料等の関連産業の集積、人材育成等を通じた我が国における半導体関連技術の向上や半導体関連産業の発展に資するものであり、法第三条第二項の考え方に沿ったものであると考えている。

 加えて、これまでに認定をした特定半導体生産施設整備等計画(法第十一条第一項に規定する特定半導体生産施設整備等計画をいう。)については、我が国では他の企業が有していない生産技術に係るものと認識しており、「競合する国内の半導体企業の競争力を阻害する」、「国内産業の国際競争力の強化と特定半導体生産に関係する産業の発展に資するとの基本理念と矛盾している」及び「税金を使って外資系企業を支援して余剰な半導体を製造させる」との御指摘は当たらないものと考えている。

二の2及び4の(三)について

 御指摘の「特定半導体が逼迫し国内の半導体購入企業に優先的に供給することが求められる事態」が、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第十一条の例外的な場合に該当するかどうかについては、個別の事案における具体的な事情を踏まえて判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難であるが、法第十二条第二項に基づき、認定を受けた者が認定に係る計画に従って特定半導体生産施設整備等(法第二条第五項に規定する特定半導体生産施設整備等をいう。)を実施していないと認められるときは、当該認定を取り消すことができることとされている。このため、御指摘のように「利益確保よりも国内向けに優先的に出荷することを選択する可能性は低い」とは考えていないが、政府としては、国内において特定半導体の安定的な供給が実現されるよう適切に対応してまいりたい。