質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第七四号
  令和五年五月二十三日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出半導体工場進出が相次ぐ熊本県北部地域における地下水資源の適正利用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出半導体工場進出が相次ぐ熊本県北部地域における地下水資源の適正利用に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの工業用水法(昭和三十一年法律第百四十六号。以下「法」という。)第三条第二項に規定する「工業の用に供すべき水の量」が「大」であるか否かについては、工業用水の使用量及び需要量を考慮して個別具体的に判断すべきものと認識しているため、お尋ねのように「毎時何立方メートルの水量」と一律にお示しすることは困難である。

二について

 御指摘の「指定地域」については、法第三条第二項において、地下水を採取したことにより、地下水の水位が異常に低下し、塩水若しくは汚水が地下水の水源に混入し、又は地盤が沈下している一定の地域が、その地域において工業の用に供すべき水の量が大であるか等の要件に該当する場合に定めることとされているが、お尋ねの熊本県については、政府として、これまで把握している限りでは、同県内において工業の用に供するための地下水の採取による地下水の水位の異常な低下等を承知していないため「指定地域」としていない。

三について

 水循環基本法(平成二十六年法律第十六号)第十三条第一項の規定に基づき策定された「水循環基本計画」(令和二年六月十六日閣議決定、令和四年六月二十一日一部変更)に基づき、これまで、例えば、同計画に基づき設立された地下水マネジメント推進プラットフォームを通じた地方公共団体に対する地下水に関する情報の収集、整理、分析等に関する支援等を行ってきているが、お尋ねの政府による熊本県における「地下水利用に関する調査・施策」については、政府として、現時点で把握している限りでは、同法が施行された平成二十六年以降に行ったものは存在しない。

四について

 御指摘の「平成十九年から平成二十一年に」行った「地下水賦存量調査」のうち平成二十年度に行った調査については、お尋ねの「「熊本県菊陽郡菊陽町、土地の所有権はJASM」と記載されている土地」を含む熊本平野を対象としており、当該調査の報告書によれば、熊本平野における、一平方メートル当たりのお尋ねの「地下水賦存量」については、お尋ねの「第四系」が八・三六立方メートル、お尋ねの「新第三系」が〇・〇〇立方メートルであり、また、お尋ねの「安全用水量」とは、安全揚水量を指すものと考えられるが、これについては当該調査において調査を行っていない。

五について

 法は、特定の地域において、工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、もってその地域における工業の健全な発達と地盤の沈下を防止することを目的としていることから、経済産業省と環境省が一体となって法を所管する必要があり、御指摘のように「所管を完全に環境省に移管すべき」であるとは考えていない。