質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第七二号
  令和五年五月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出性自認に対しての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出性自認に対しての政府の認識に関する質問に対する答弁書

一から四まで及び六について

 お尋ねの「性自認」という用語は、厚生労働省が作成した「保健師助産師看護師国家試験出題基準令和五年版」、平成三十年度に実施された第三十一回社会福祉士試験の試験問題、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年十月十一日文部科学大臣決定(最終改定 平成二十九年三月十四日))、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和二年厚生労働省告示第五号)において示している「職場におけるパワーハラスメント」の「代表的な言動の類型」に「該当すると考えられる例」及び令和四年六月に開催されたG7エルマウ・サミットの機会に作成された「G7首脳コミュニケ」の日本語仮訳において使用されていると認識している。また、お尋ねの「適切である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これらの文書等における当該用語については、医道審議会保健師助産師看護師分科会保健師助産師看護師国家試験出題基準改定部会、社会福祉士試験委員会及びいじめ防止対策協議会での議論並びに「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成三十一年四月二十四日衆議院厚生労働委員会)の七の2及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和元年五月二十八日参議院厚生労働委員会)の九の3の内容や、「性自認」という用語が一般に広く用いられていること等を踏まえて、使用されているものと認識している。

五について

 お尋ねの「総理大臣が「性自認」という用語を用いた答弁」については、その数が多いことから網羅的に列挙することは困難であるが、例えば、令和二年十月二十九日の参議院本会議において、菅内閣総理大臣(当時)が「性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えております」と答弁している。

七について

 「性自認」という用語を用いている条例については、網羅的に把握していないが、例えば、東京都においては、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例(平成三十年東京都条例第九十三号)において、「性自認」という用語が用いられていると承知している。

八について

 お尋ねの「自分がそう思ったら男や女になれるという「性別の自称」に類する事柄に対する差別が禁止された事例」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

九について

 お尋ねの点については、現在係争中の訴訟において争点となっている事項に関わるものであることから、お答えすることは差し控えたい。

十について

 お尋ねの「自称すれば性別を変えられる」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。