質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第六七号
  令和五年五月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出岸田文雄内閣総理大臣の広島・長崎における外国人の原爆被害状況の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出岸田文雄内閣総理大臣の広島・長崎における外国人の原爆被害状況の認識に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「「核兵器がもたらしたあらゆる被害についての正確な認識」及び「被爆の実相」には、「原爆の被害を受けたのは日本人だけではなく、多数の韓国人(当時は「朝鮮人」)を始めとする様々な外国人がいたことの正確な認識」及び「外国人の被爆の実相」も含まれている」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

二の1について

 原子爆弾の投下による死没者数に関する新たな調査を実施することについては、原子爆弾の投下から七十七年が経過し、被爆者の数も減少していること等から、広島市及び長崎市が昭和五十一年に国際連合へ提出した資料における死没者数と比較してより精緻な実態の把握のために必要な資料の収集や、被爆者本人への聞き取り等は困難となっていると認識しており、考えていない。

二の2について

 外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたいが、いずれにせよ、我が国と大韓民国との間では、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)第二条1において、「両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・・完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」している。

二の3について

 御指摘の「国立国会図書館蔵の「陸海軍関係文書」」が具体的にどの文書を指すのかが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二の4の(1)について

 お尋ねについては、御指摘の資料において、所属部隊の記載はあるものの、当該部隊に関し、特定の時点における具体的な活動場所に関する記載はないことから、お答えすることは困難である。

二の4の(2)について

 お尋ねについては、調査に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

三の1について

 在外被爆者保健医療助成事業に関し、御指摘の「国別の年間助成金額」については、網羅的に把握していないが、平成十六年度以降の各年度における①大韓民国及び②同国以外の国に居住する者に係る「年間助成金額」をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 平成十六年度 ①二千二百十三万八千二百五十九円 ②五百十七万千七百十四円

 平成十七年度 ①一億八千九十万九百七十八円 ②四千四百十三万四千七百四十二円

 平成十八年度 ①二億二千十一万千百六十八円 ②五千百八十三万五千六百八十四円

 平成十九年度 ①二億六千九百三十四万千九百七十七円 ②六千二百四十一万六千五百三十八円

 平成二十年度 ①二億七千三十二万九千八百六十三円 ②六千五百四十三万七千七百三十三円

 平成二十一年度 ①二億六千八百二十一万八千三百六円 ②六千六百七十八万四千二百六十六円

 平成二十二年度 ①三億三百十五万四千八百五十五円 ②六千六百八十八万二千四百四円

 平成二十三年度 ①三億二千五百十六万三千四十円 ②六千五百五十五万千二百四十八円

 平成二十四年度 ①三億四百二十八万八千二百三十九円 ②六千五百三万九千百十七円

 平成二十五年度 ①三億四千三百九十六万七千八百三十六円 ②六千六百三万六千八百二十一円

 平成二十六年度 ①四億八千四百三十九万七千五百六十四円 ②七千五百七十二万百八十七円

 平成二十七年度 ①五億四千四百六十万二千八百五十九円 ②八千七百二十四万九千六百十一円

 平成二十八年度 ①五億百十万六千四百九十一円 ②一億四百九十八万二千四百六十三円

 平成二十九年度 ①四億八千七百七十三万七千三百七十七円 ②七千八百八十六万二千六百八十円

 平成三十年度 ①四億八千七百六十三万九千八百五円 ②七千五百十八万千三百三十一円

 令和元年度 ①四億八千五百十二万千三百二十七円 ②六千八百九十一万七千四十三円

 令和二年度 ①四億三千九十四万四千七百三十一円 ②四千八百九十九万千七百七十五円

 令和三年度 ①四億四千二百五十二万三千三百十六円 ②五千八百二十四万九千七百十五円

三の2について

 御指摘の「医療費の支給」及び「一般疾病医療費の支給」に係る「年間支給金額」については、「国別」に把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 政府としては、二の1についてでお答えしたとおり、原子爆弾の投下による死没者数に関する新たな調査を実施することは考えていないが、引き続き、原子爆弾被爆者実態調査の結果を公表することとしており、また、核兵器がもたらしたあらゆる被害についての正確な認識を広め、被爆の実相を世代と国境を越えて世界に発信することは、我が国の重要な責任であると認識している。