質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第六六号
  令和五年五月十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員山本太郎君提出広域避難計画策定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出広域避難計画策定に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「原子力災害の避難計画」については、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号。以下「災対法」という。)第四十条第一項及び第四十二条第一項の規定により都道府県防災会議等が作成することとされている地域防災計画(以下「地域防災計画」という。)において、災対法第四十条第二項及び第四十二条第二項の規定により避難に関する事項を定めることとされている。その上で、地域防災計画については、原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災対法第四十条第一項及び第四十二条第一項の規定により、防災基本計画(令和四年六月十七日中央防災会議決定)及び原子力災害対策指針(平成三十年原子力規制委員会告示第八号)に基づき作成することとされているところ、同計画においては、御指摘の「原子力発電所」から「概ね三十キロメートル圏内の自治体」を含め、同指針で示されている原子力災害対策重点区域を管轄に含む地方公共団体については、御指摘の「広域避難計画」等を策定するものとされている。

 また、お尋ねの「三十キロメートル圏外の自治体」が「避難者を受け入れる義務」については、例えば、原災法第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災対法第六十一条の四第一項の規定により、市町村長は、原子力災害の事態に照らし、災対法第六十条第一項に規定する避難のための立退きを指示した場合におけるその立退き先を当該市町村内の指定緊急避難場所その他の避難場所とすることが困難であり、かつ、居住者等の生命又は身体を原子力災害から保護するため当該居住者等を一定期間他の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、同一都道府県内の他の市町村の市町村長に協議することができることとされているところ、災対法第六十一条の四第三項の規定により、同条第一項に規定する場合において協議を受けた市町村長は、同項の居住者等を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、当該居住者等を受け入れることとされている。

三について

 御指摘の「避難計画の策定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、防災基本計画に基づく広域避難計画等については、地方公共団体においてその策定が進められているところであり、御指摘のように「いまだ策定できていない」ことをもって直ちに災対法等に抵触することになるとは考えていないが、防災基本計画の趣旨に鑑み、可能な限り速やかに策定される必要があると考えている。

四の1について

 東海第二地域原子力防災協議会作業部会の前後に茨城県により開催された「広域避難計画に関する勉強会」のうち内閣府(原子力防災担当)の職員(以下「職員」という。)が出席したものについては、同県内の関係する地方公共団体において原子力災害対策指針の内容に関する理解を深めることや関係者間で広域避難計画の作成作業の進め方について意見交換を行うことなどを目的として開催されてきたものであると承知しており、政府としては、同県の要請に基づき出席したものであり、また、同勉強会の情報公開の在り方については同県において判断するものであるため、「県勉強会ということにすればいくらでも検討内容を隠すことができる」との御指摘は当たらず、また、これまでの同勉強会への職員の出席が不適切であったとは考えていない。また、同勉強会の今後の予定については、政府として承知していない。

四の2について

 四の1についてで述べたとおり、御指摘の「勉強会」へのこれまでの職員の出席が不適切であったとは考えていないが、地域原子力防災協議会作業部会(以下「作業部会」という。)における議論の透明性が一層確保されるよう、今後、御指摘の「茨城県」以外の地域を含め、作業部会に関係する地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)が作業部会と同様の構成員による意見交換等の実施を希望する場合には、作業部会として対応することとし、これについて、作業部会の関係者に周知してまいりたい。

四の3について

 作業部会の前後に関係地方公共団体により開催された「避難計画に関する会議・勉強会」で職員が出席した事例について、現時点で把握している限りで、①開催日、②開催場所等及び③出席者をお示しすると、以下のとおりである。

浜岡地域

 ①令和二年三月十八日 ②統合原子力防災ネットワークシステムを活用した会議(以下「ネットワークシステム」という。) ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員六名

 ①令和五年三月二十九日 ②静岡県庁及びウェブ会議 ③志村和俊地域原子力防災推進官ほか職員五名

四の4について

 作業部会と別の日程において関係地方公共団体により開催された「避難計画に関する会議・勉強会」で職員が出席した事例について、現時点で把握している限りで、①開催日、②開催場所等及び③出席者をお示しすると、以下のとおりである。

東海第二地域

 ①平成二十八年九月十三日 ②茨城県庁 ③職員三名

 ①平成二十九年四月二十日 ②茨城県庁 ③職員四名

 ①平成三十年四月二十日 ②茨城県庁 ③職員五名

 ①平成三十年七月十七日 ②茨城県庁 ③職員四名

 ①平成三十一年二月十五日 ②茨城県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員三名

 ①令和元年五月九日 ②茨城県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員三名

 ①令和元年八月二十七日 ②茨城県庁 ③職員四名

 ①令和元年十二月二十四日 ②茨城県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員五名

 ①令和二年六月二十五日 ②茨城県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員三名

 ①令和二年十二月二十五日 ②茨城県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員一名

 ①令和三年二月二十四日 ②ネットワークシステム ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員五名

 ①令和三年六月二十一日 ②ネットワークシステム ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員五名

 ①令和三年九月二十七日 ②ネットワークシステム ③佐々木忠則地域原子力防災推進官(当時)

 ①令和三年十一月二十四日 ②ネットワークシステム ③佐々木忠則地域原子力防災推進官(当時)ほか職員四名

 ①令和四年八月二十二日 ②ウェブ会議 ③佐々木忠則地域原子力防災推進官(当時)ほか職員一名

 ①令和四年十月二十七日 ②ウェブ会議 ③佐々木忠則地域原子力防災推進官(当時)ほか職員二名

 ①令和五年二月三日 ②茨城県庁 ③佐々木忠則地域原子力防災推進官(当時)

浜岡地域

 ①平成二十八年四月十四日 ②静岡県原子力防災センター ③職員一名

 ①平成二十八年五月二十五日 ②静岡県庁 ③職員一名

 ①平成二十八年九月二十八日 ②静岡県庁 ③職員一名

 ①平成二十八年十二月十二日 ②静岡県庁 ③職員一名

 ①平成二十九年四月二十一日 ②静岡県庁 ③職員一名

 ①平成二十九年十一月一日 ②静岡県庁 ③職員三名

 ①平成三十年四月二十四日 ②静岡県庁 ③細野行夫地域原子力防災推進官(当時)ほか職員三名

 ①令和元年八月十九日 ②静岡県庁 ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)ほか職員三名

 ①令和三年五月三十一日 ②ネットワークシステム ③佐々木潤地域原子力防災推進官(当時)、志村和俊地域原子力防災推進官ほか職員四名

 ①令和四年五月三十一日 ②静岡県庁 ③志村和俊地域原子力防災推進官ほか職員一名

 ①令和四年九月十六日 ②静岡県庁及びウェブ会議 ③職員五名

四の5について

 お尋ねの「内閣府職員の派遣・出席に関わる費用」については、内閣府の予算から支出されている。また、お尋ねの「経費支出の詳細」については、職員の出張が作業部会への出席を含む複数の用務を目的として行われているものも多数あることから、御指摘の「自治体主催の避難計画に関する会議・勉強会」への「派遣・出席に関わる費用」のみを取り出して算出することは困難であるため、お答えすることは困難である。