質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第六三号
  令和五年五月十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院に関する質問に対する答弁書

一の1及び六について

 お尋ねの「孔子学院」及び「孔子学院と同様の機関」については、政府として把握している限りでは、令和五年四月時点で、我が国においては、少なくとも十三校の「孔子学院」が設置されており、具体的には、立命館大学、桜美林大学、北陸大学、愛知大学、立命館アジア太平洋大学、札幌大学、大阪産業大学、岡山商科大学、早稲田大学、福山大学、関西外国語大学、武蔵野大学及び山梨学院大学において、「孔子学院」が設置されていると承知している。

一の2について

 御指摘の「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のいずれにも該当しないと考えられることから、同法においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。

一の3について

 御指摘の「実質的に外国政府の統制下にある機関」の具体的に意味するところが明らかではなく、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

二及び三について

 御指摘の「孔子学院」については、諸外国においてその一部が閉鎖されていることは報道等を通じて承知しており、そのような報道等を踏まえ、文部科学省においては、大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけているところであり、その結果、「孔子学院」の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等の情報公開が進んでおり、「孔子学院」の活動等に関する事実の把握が進んでいると考えている。政府としては、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、継続的な働きかけを行ってまいりたい。

四について

 御指摘の「我が国の安全保障、学問の自由等にとって重大な懸念と問題のある組織が大学内に設置された」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、お尋ねの「政府としていかなる対応が可能であるか」については、個別具体の事案に即して判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

五について

 政府の働きかけ等を受けて御指摘の「孔子学院」を設置する学校法人から公開される情報等を踏まえ、御指摘の「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要な場合や、法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。