第211回国会(常会)
内閣参質二一一第六〇号 令和五年五月十二日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出国際和解合意に基づく強制執行を可能とする制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出国際和解合意に基づく強制執行を可能とする制度に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「国際和解合意」は、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の規定を踏まえたものであり、その具体例を示せば、調停において合意が成立した当時において、当該調停の当事者の一方が日本国外に主たる事務所を有する場合、当該調停の当事者双方が日本国内に主たる事務所を有するものの、そのうち一方が当該合意によって解決された紛争と最も密接な関係がある事務所を日本国外に有する場合、当該調停の当事者双方が日本国内のみに事務所を有するものの、そのうち一方が当該合意に基づいて日本国外で目的物を他方の当事者に引き渡すこととされている場合に、当該当事者間に成立した合意が国際和解合意に該当するものと考えられる。 二について 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律(令和五年法律第十六号。以下「新法」という。)第三条が、国際和解合意の当事者が、条約又は条約の実施に関する法令に基づき民事執行をすることができる旨の合意をした場合について新法の規定を適用することとしているのは、調停において成立した和解合意に基づく強制執行を可能とするためには、当事者の手続保障を図る観点から、当該和解合意に基づく民事執行を受け入れるか否かについて、当事者がその意思に基づき判断すべきものとする必要があると考えられることによるものである。 三について 新法第五条第一項は、国際和解合意に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、国際和解合意に基づく民事執行を許す旨の決定(以下「執行決定」という。)を求める申立てをしなければならないものとしている。また、同条第十一項は、裁判所は、同条第十二項の規定により当該申立てを却下する場合を除き、執行決定をしなければならないものとしている。 当該執行決定が確定したときには、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の定めるところにより、当該確定した執行決定のある国際和解合意に基づく民事執行の申立てをすることができる。 |