質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第四五号
  令和五年四月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出インフルエンザ脳症を発症する要因等や研究に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出インフルエンザ脳症を発症する要因等や研究に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「インフルエンザ脳症を発症する要因等」については、平成十五年度から平成十七年度までの間に行われた厚生労働科学研究費補助金による「インフルエンザ脳症の発症因子の解明と治療及び予防方法の確立に関する研究」において、「インフルエンザ脳症は、ウイルスが脳で増殖して起きるのではなく、感染を引き金としてサイトカインストーム及び血管内皮細胞の障害が生じ、全身の諸臓器でapoptosisが進行する。一部の小児に発症するのは、ウイルス側の要因ではなく、宿主側の遺伝的要因(遺伝子多型の存在)に起因することが、SNPs解析の結果から示唆された」ことが報告されており、政府としても同様に認識している。

二について

 お尋ねの「インフルエンザ脳症に関する新たな情報」については、平成三十年二月に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業の「新型インフルエンザ等への対応に関する研究」において、御指摘の「インフルエンザ脳症ガイドライン」を改訂したものとして、その時点までに報告されたインフルエンザ脳症の治療法等を追記した「インフルエンザ脳症の診療戦略」が作成されている。

三及び四について

 お尋ねの「SNS等のインターネット上の情報」における「インフルエンザ脳症を発症する要因として、インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤服用が直接の要因となるとの主張」が具体的にどのような主張を指しているのか明らかではないため、お答えすることは困難である。また、お尋ねの「インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤の服用とインフルエンザ脳症との因果関係が認められる、または認められないという研究資料等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、季節性インフルエンザワクチンの接種又は解熱鎮痛剤の服用がインフルエンザ脳症を発症する直接の要因となるとの研究の結果については、政府として承知していない。

五及び六について

 お尋ねの「SNS等のインターネット上の情報」における「インフルエンザ脳症に限らず、ワクチン接種あるいは解熱剤の服用が、髄膜炎や脳炎、脳症等脳へ重篤なダメージをもたらす疾患等との直接の要因となるという主張」が具体的にどのような主張を指しているのか明らかではないため、お答えすることは困難である。また、お尋ねの「インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤の服用と髄膜炎や脳炎、脳症等脳へ重篤なダメージをもたらす疾患等との因果関係が認められる、または認められないという研究資料等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、季節性インフルエンザワクチンのうちフルービックHAの添付文書においては、「脳炎・脳症」の副反応が、解熱鎮痛剤のジクロフェナクナトリウム製剤のうちボルタレン錠二十五ミリグラムの添付文書においては、「無菌性髄膜炎」や「急性脳症」の副作用が現れることがある旨がそれぞれ記載されている。