質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第四四号
  令和五年四月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出自然公園法と太陽光発電設備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出自然公園法と太陽光発電設備に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「自然保護法」とは、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)を指すものと考えられるが、例えば、同法第二十条第一項に規定する特別地域における太陽光発電施設の新築については、同条第四項の規定に基づいて定められた自然公園法施行規則(昭和三十二年厚生省令第四十一号)第十一条第十二項において、支障木の伐採が僅少であること等の基準を定めており、これに適合しない太陽光発電施設の新築は、同法の「趣旨に反する」ものであると考えている。

二について

 御指摘の「釧路湿原国立公園」を含め、我が国の自然公園内における太陽光発電施設の設置については、当該設置が行われる地域の周辺地域の景観や動植物に対する影響に係る配慮及び当該周辺地域における自然環境との調和が図られるよう、これまで、令和四年三月に「国立・国定公園内における太陽光発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(令和四年三月環境省策定)を取りまとめて自然公園法第二十条第三項の規定による許可及び同法第二十一条第三項の規定による許可に係る基準の運用方針の明確化等を行うなどしてきたところであり、引き続きこれらの取組を進めるとともに、更なる対応については、今後、必要に応じて検討していく考えである。

三について

 御指摘の「自然公園周辺」を含め、我が国における「大規模太陽光発電所の無秩序な建設」の防止に向けて、お尋ねの「新たな規制、設置ルールや制限」については、令和五年二月に、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第九条第四項に規定する再生可能エネルギー発電事業計画の認定(以下「認定」という。)に当たって発電設備を設置する場所の周辺地域の住民に対して再生可能エネルギー発電事業の実施に関する内容の事前周知が実施されたこと等をその要件とすることを含む脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)を第二百十一回国会に提出したところである。

四について

 太陽光発電施設の設置については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項第一号ホに規定する環境影響評価を実施すべき「事業用電気工作物であって発電用のものの設置又は変更の工事の事業」として、環境影響評価法施行令(平成九年政令第三百四十六号)別表第一の五の項のルの第二欄において「出力が四万キロワット以上である太陽電池発電所の設置の工事の事業」に該当することとの要件(以下「規模要件」という。)を定めているが、これについては、中央環境審議会が平成三十一年四月に答申した「太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について(答申)」において示された「法は第一条で、「規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業」について環境影響評価を行うものと定めている。規模要件の水準については、これを踏まえて設定する必要がある」、「太陽光発電事業において、特に環境影響が大きいのは土地の面的な改変による影響であるが、法における土地区画整理事業などの面整備事業の規模要件をみると、施行区域の面積が百ヘクタール以上を第一種事業、また、その七十五パーセントに相当する七十五ヘクタール以上を第二種事業とすることを基本としている」といった考え方等を踏まえて設定したものであり、また、制度が適切に運用されてきたと認識している。このため、現時点において、御指摘のように規模要件を「少なくとも千キロワット以上」に変更する必要はないと考えているが、今後、制度の運用状況等を注視してまいりたい。

五について

 御指摘の「ガイドライン」とは、「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」(令和二年三月環境省策定)を指すものと考えられるが、これは、環境影響評価法や地方公共団体が定める環境影響評価条例による環境影響評価手続が義務付けられていない規模の太陽光発電施設の設置に際して、当該設置の実施主体等による自主的な環境配慮の取組を促すものであるところ、当該設置に係る「法的拘束力を持つ具体的方策」については、四についてで述べたとおり、同法における規模要件を現時点では変更する必要はないと考えているが、三についてで述べたとおり、令和五年二月に第二百十一回国会に提出した改正法案において、認定に当たって発電設備を設置する場所の周辺地域の住民に対して再生可能エネルギー発電事業の実施に関する内容の事前周知が実施されたこと等をその要件とすることを盛り込んだところである。