質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第三四号
  令和五年三月十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出原子力規制委員会と原子力規制庁の独立性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出原子力規制委員会と原子力規制庁の独立性に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、原子力規制委員会として、同委員会委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する観点から、「原子力規制委員会の業務運営の透明性の確保のための方針」(平成二十四年九月十九日原子力規制委員会決定。以下「透明性確保方針」という。)に基づき、同委員会定例会議・臨時会議、原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会等の議事等を原則として公開するとともに、同委員会委員長及び委員並びに原子力規制庁職員が被規制者、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織の職員等との間で行った面談に係る議事要旨等を原則として公開してきている。

二について

 原子力規制委員会として、令和五年一月二十五日付けで透明性確保方針を改正し、同委員会委員長及び委員並びに原子力規制庁職員が原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織の職員等との間で行う面談の議事要旨等を原則として公開しているところ、こうした取組は、当該面談を行った事実の有無及び当該面談の概要を原則として全て明らかにするものであることから、現時点において、同委員会委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使するために十分なものとなっていると認識している。引き続き、このために必要な取組について不断の検討を続けていく考えである。

三について

 お尋ねの「経歴」については、例えば、原子力規制委員会委員に初めて任命される時点の直近三年間における肩書きをお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 山中伸介委員長(平成二十九年九月二十二日同委員会委員任命時)

  平成二十二年四月から国立大学法人大阪大学大学院工学研究科附属フロンティア研究センター長

  平成二十八年四月から国立大学法人大阪大学大学院工学研究科附属オープンイノベーション教育研究センター長

  同年八月から国立大学法人大阪大学理事・副学長

  平成二十九年八月から国立大学法人大阪大学大学院工学研究科教授

 田中知委員(平成二十六年九月十九日同委員会委員任命時)

  平成二十年四月から国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授(原子力国際専攻)

 杉山智之委員(令和四年九月二十六日同委員会委員任命時)

  平成三十年四月から国立研究開発法人日本原子力研究開発機構安全研究・防災支援部門安全研究センターリスク評価研究ディビジョン長

  令和二年四月から国立研究開発法人日本原子力研究開発機構安全研究・防災支援部門安全研究センター原子炉安全研究ディビジョン長

  令和四年四月から国立研究開発法人日本原子力研究開発機構安全研究・防災支援部門安全研究センター副センター長

 伴信彦委員(平成二十七年九月十九日同委員会委員任命時)

  平成二十三年四月から東京医療保健大学東が丘看護学部教授

  平成二十六年四月から東京医療保健大学東が丘・立川看護学部教授

 石渡明委員(平成二十六年九月十九日同委員会委員任命時)

  平成二十年四月から国立大学法人東北大学東北アジア研究センター教授(基礎研究部門地球化学研究分野)

 また、お尋ねの「就任までの原子力事業者等からの寄附の有無」及び「その額」については、「原子力規制委員会委員長及び委員の倫理等に係る行動規範」(平成二十四年九月十九日原子力規制委員会決定)第四項の規定に基づき公表している、同委員会委員に初めて任命される時点の直近三年間における委員個人又は所属する研究室等の研究に対する原子力事業者等からの寄附金額をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 山中伸介委員長(平成二十九年九月二十二日同委員会委員任命時)

  共同研究経費及び委託・請負経費 原子燃料工業株式会社(平成二十六年度に百八十三万円及び平成二十七年度に百八十四万円)

  共同研究経費 日本核燃料開発株式会社(平成二十六年度から平成二十八年度までの各年度に六十三万円)

  共同研究経費及び委託・請負経費 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(平成二十八年度に八百七十三万円)

  共同研究経費 株式会社日立製作所(平成二十八年度に百八十万円)

 田中知委員(平成二十六年九月十九日同委員会委員任命時)

  工学研究のための奨学寄附金 日立GEニュークリアエナジー株式会社(平成二十三年に六十万円)

 杉山智之委員(令和四年九月二十六日同委員会委員任命時)

  該当なし

 伴信彦委員(平成二十七年九月十九日同委員会委員任命時)

  該当なし

 石渡明委員(平成二十六年九月十九日同委員会委員任命時)

  該当なし

四について

 お尋ねの「職員数」については、令和五年一月一日時点で、千十八名である。このうち、文部科学省出身者は七十七名、経済産業省出身者は百五十九名であり、原子力規制委員会において現時点で把握している範囲では、一般社団法人日本原子力産業協会の会員企業又は団体(以下「会員企業又は団体」という。)の出身者は百十九名である。

五について

 原子力規制委員会において現時点で把握している範囲では、同委員会の設置から現時点までに、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百六条の二十三第一項及び第百六条の二十四第一項の規定に基づく再就職の届出をした者のうち、会員企業又は団体に転職した者は十二名である。

六について

 原子力規制委員会のウェブサイトで公表している令和四年八月五日時点の原子力規制庁幹部職員名簿に記載されている者の①役職名、②氏名及び③出身官庁名をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 ①長官 ②片山啓 ③経済産業省

 ①次長 ②金子修一 ③経済産業省

 ①原子力規制技監 ②市村知也 ③経済産業省

 ①長官官房緊急事態対策監 ②古金谷敏之 ③経済産業省

 ①長官官房核物質・放射線総括審議官 ②佐藤暁 ③経済産業省

 ①長官官房審議官 ②松下整 ③警察庁

 ①長官官房審議官 ②小野祐二 ③経済産業省

 ①長官官房審議官 ②森下泰 ③経済産業省

 ①原子力規制部長 ②大島俊之 ③文部科学省

 ①長官官房総務課長 ②黒川陽一郎 ③環境省

 ①長官官房サイバーセキュリティ・情報化参事官 ②足立敏通 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房政策立案参事官 ②吉野亜文 ③環境省

 ①長官官房総務課監査・業務改善推進室長 ②野村優子 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房総務課広報室長 ②中桐裕子 ③経済産業省

 ①長官官房総務課国際室長 ②一井直人 ③経済産業省

 ①長官官房総務課事故対処室長 ②山口道夫 ③経済産業省

 ①長官官房総務課法令審査室長 ②湯本淳 ③環境省

 ①長官官房人事課長 ②田口達也 ③経済産業省

 ①長官官房参事官(会計担当) ②河原雄介 ③警察庁

 ①長官官房参事官(法務担当) ②平野大輔 ③法務省

 ①長官官房委員会運営支援室長 ②高橋隆 ③経済産業省

 ①長官官房技術基盤課長 ②遠山眞 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房安全技術管理官(システム安全担当) ②田口清貴 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房安全技術管理官(シビアアクシデント担当) ②舟山京子 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房安全技術管理官(放射線・廃棄物担当) ②萩沼真之 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房安全技術管理官(地震・津波担当) ②川内英史 ③国家公務員出身者ではない。

 ①長官官房放射線防護企画課長 ②新田晃 ③環境省

 ①長官官房放射線防護企画課保障措置室長 ②寺崎智宏 ③文部科学省

 ①長官官房監視情報課長 ②今井俊博 ③経済産業省

 ①長官官房監視情報課放射線環境対策室長 ②竹本亮 ③経済産業省

 ①長官官房安全規制管理官(核セキュリティ担当) ②中村振一郎 ③警察庁

 ①長官官房安全規制管理官(放射線規制担当) ②吉川元浩 ③文部科学省

 ①原子力規制部原子力規制企画課長 ②金城慎司 ③経済産業省

 ①原子力規制部原子力規制企画課火災対策室長 ②齋藤健一 ③消防庁

 ①原子力規制部東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長 ②竹内淳 ③経済産業省

 ①原子力規制部安全規制管理官(実用炉審査担当) ②渡邉桂一 ③経済産業省

 ①原子力規制部安全規制管理官(研究炉等審査担当) ②志間正和 ③経済産業省

 ①原子力規制部安全規制管理官(核燃料施設審査担当) ②長谷川清光 ③文部科学省

 ①原子力規制部安全規制管理官(地震・津波審査担当) ②内藤浩行 ③経済産業省

 ①原子力規制部検査監督総括課長 ②武山松次 ③経済産業省

 ①原子力規制部検査監督総括課検査評価室長 ②清丸勝正 ③環境省

 ①原子力規制部安全規制管理官(実用炉監視担当) ②杉本孝信 ③経済産業省

 ①原子力規制部安全規制管理官(核燃料施設等監視担当) ②大向繁勝 ③文部科学省

 ①原子力規制部安全規制管理官(専門検査担当) ②髙須洋司 ③国家公務員出身者ではない。

 ①原子力安全人材育成センター副所長 ②迎隆 ③国家公務員出身者ではない。

七について

 経済産業省出身の原子力規制庁の職員のうち、原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)の施行から五年を経過するまでの期間(以下「当該期間」という。)において同省に転出した職員は百六十四名であり、このうち、令和四年九月一日までの間に「原子力規制委員会設置法附則第六条第二項の運用方針について」(平成二十七年九月三十日原子力規制委員会決定)に規定する同庁の職員の配置を認めない行政組織(以下「行政組織」という。)に配置されたことのある職員は七名である。また、同省出身の同庁の職員のうち、当該期間が経過した後に同省に転出した職員は五十二名であり、このうち、令和四年九月一日までの間に行政組織に配置されたことのある職員はいない。

八について

 文部科学省出身の原子力規制庁の職員のうち、当該期間において同省に転出した職員は九十三名であり、このうち、令和四年九月一日までの間に行政組織に配置されたことのある職員は七名である。また、同省出身の同庁の職員のうち、当該期間が経過した後に同省に転出した職員は二十一名であり、このうち、同日までの間に行政組織に配置されたことのある職員はいない。

九について

 文部科学省又は経済産業省出身の原子力規制庁の職員のうち、文部科学省又は経済産業省以外の省庁に転出した職員については、当該期間において転出した職員は二十八名、当該期間が経過してから令和四年九月一日までの間に転出した職員は二十三名である。

十及び十一について

 御指摘の「市民や住民を招いて、原子力規制について意見交換」及び「原子力事業者などの被規制者を招いて、原子力規制について意見交換」の具体的に意味する範囲が必ずしも明らかではないが、原子力規制委員会の設置から令和三年度末までの間に、同委員会又は原子力規制庁が「市民や住民」を主な参加者として開催した会合及び同委員会又は同庁が原子力事業者又は関係団体との意見交換やこれらの者からの意見聴取を目的として開催した会合の件数について、現時点で同委員会として把握している範囲でお示しすると、それぞれ二十三件及び百二十件である。