質問主意書

第211回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一一第二九号
  令和五年三月十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出米の消費拡大の取組と農業従事者振興策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出米の消費拡大の取組と農業従事者振興策に関する質問に対する答弁書

一、二、三の第五文及び四について

 主食用米の需要の拡大に向けて、政府としては、「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、「米飯学校給食の推進・定着や米の機能性など「米と健康」に着目した情報発信、企業と連携した消費拡大運動の継続的展開などを通じて、米消費が多く見込まれる消費者層やインバウンドを含む新たな需要の取り込みを進めることで、米の一人当たり消費量の減少傾向に歯止めをかける」こととしており、引き続き必要な措置を講じていく考えである。一方、人口減少等により国内における主食用米の需要量が年々減少する中で、政府としては、需要に応じた生産を推進することが重要と考えており、主食用米を含めた米穀に係る需要見通しや価格動向等についての生産者等に対するきめ細かな情報提供を行うとともに、主食用米から麦・大豆といった、需要があり、かつ、海外からの輸入に依存している作物等への転換や畑作物の作付けが継続して行われている水田等についての御指摘の「畑地化」への支援等に取り組んでいるところである。このようなことから、「政府が進めるとしている「米の消費拡大」、「需要増大の取組」と逆行することにならないか。」との御指摘は当たらないものと考えている。

三の第二文から第四文までについて

 学校における米飯給食(給食内容に米飯が含まれる給食をいう。以下同じ。)の実施状況については、文部科学省において、平成二十九年度から令和三年度までの過去五年間のうち、平成三十年度及び令和三年度に米飯給食実施状況調査を実施しており、各年度における①毎週三回以上の米飯給食を実施している学校(国公私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校及び夜間課程を置く高等学校をいう。以下同じ。)の数及び②毎週四回以上の米飯給食を実施している学校の数をお示しすると、次のとおりである。なお、学校の種類ごとの内訳については、集計を行っておらず、お尋ねの「小中学校」のみの数をお答えすることは困難である。

 平成三十年度 ①二万八千六百九十八校 ②一万千五百十九校

 令和三年度 ①二万八千六百二十六校 ②一万二千三百三校

五について

 御指摘の「国が財政支出を行い、輸出を行ってもなお発生した余剰分の米などを買い取るなど」の意味するところが明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、政府としては、需要に応じた生産による農業者の所得の向上が、農業従事者の育成に資すると考えている。なお、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第二条第一項の規定により政府が行う米穀の備蓄は、米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有するものであり、御指摘の「農業従事者の育成政策」として運用することは考えていない。

六について

 御指摘の試算は、御指摘の「「食事バランスガイド」のコマに表された一日の食事」及び「ごはん中心和定食「魚の照り焼き、青菜のごまあえ、ごはん小盛り二杯、根菜の汁」」に含まれる食材又は料理に係る平成二十一年度の供給熱量ベースの食料自給率について加重平均して算出したものであり、お尋ねの「根拠となるデータ」について、①食材又は料理及び②①の同年度の供給熱量ベースの食料自給率を「「食事バランスガイド」のコマに表された一日の食事」及び「ごはん中心和定食「魚の照り焼き、青菜のごまあえ、ごはん小盛り二杯、根菜の汁」」の別にお示しすると、次のとおりである。

 (一) 「「食事バランスガイド」のコマに表された一日の食事」

 ①食パン ②十四パーセント

 ①ごはん ②百パーセント

 ①うどん ②二十四パーセント

 ①おにぎり ②百パーセント

 ①野菜サラダ ②二十パーセント

 ①野菜の煮物 ②五十四パーセント

 ①ほうれん草のお浸し ②七十九パーセント

 ①具だくさん味噌汁 ②八十パーセント

 ①きゅうりとわかめの酢の物 ②七十四パーセント

 ①目玉焼き ②七パーセント

 ①冷奴 ②二十八パーセント

 ①焼き魚 ②百二十五パーセント

 ①ハンバーグステーキ ②十五パーセント

 ①牛乳 ②四十三パーセント

 ①チーズ ②八パーセント

 ①みかん ②百一パーセント

 ①りんご ②五十八パーセント

 (二) 「ごはん中心和定食「魚の照り焼き、青菜のごまあえ、ごはん小盛り二杯、根菜の汁」」

 ①ごはん ②百パーセント

 ①青菜のごまあえ ②二十七パーセント

 ①根菜の汁 ②八十パーセント

 ①魚の照り焼き ②九十七パーセント

 また、お尋ねの「これを基に自給率向上計画を立てれば、自給率向上の具体的な道筋が議論できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、基本計画における「食料自給率の向上に向けた課題と重点的に取り組むべき事項」において、「食料消費」については、「食育や国産農産物の消費拡大、地産地消、和食文化の保護・継承、食品ロスの削減をはじめとする環境問題への対応等の施策を個々の国民が日常生活で取り組みやすいよう配慮しながら推進する必要がある」としているところである。