質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一四四号

在留特別許可に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   在留特別許可に関する質問主意書

一 改正出入国管理及び難民認定法では、収容令書により収容された外国人や監理措置決定を受けた外国人は、随時在留特別許可の申請ができることとされているが、同法第五十条第四項によると、在留特別許可は、入国審査官の退去強制対象者に該当するとの認定か、特別審理官による入国審査官の認定に誤りがないとの判定に服した場合や法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した後でなければすることができないとなっている。申請はいつでも可能なのに、在留特別許可は退去強制手続の入国審査官の違反審査、特別審理官の口頭審理、法務大臣の裁決のいずれかの段階を経ないとなされないこととしたのはなぜなのか。政府の見解を示されたい。

二 今回の改正では、在留特別許可の申請は、退去強制令書の発付後はすることができないと規定している。しかし、退去強制令書発付後に日本人との婚姻が成立したり、婚姻した日本人配偶者との間に子供が生まれたりするなどの事情の変更により、退去強制令書の発付後でも、在留特別許可をすべきである場合は十分あり得ることである。収容・送還に関する専門部会の報告書でも、「退去強制令書の発付後に在留を特別に許可することが相当となるような新たな事情が生じた場合など、送還を拒むことについてやむを得ない事情があると認められる場合は、関係部門が連携し、従前の処分の変更を含め、適切な対応を行うものとする」との提言がなされている。なぜ、退去強制令書の発付後の申請を認めないこととしたのか。また、専門部会の報告書の提言については、どのように対応する予定なのか。この二点につき政府の見解を示されたい。

三 今回の改正では、在留特別許可の考慮事情について規定している。具体的には、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性、内外の諸情勢、本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮するものと規定している。しかし、これらは現在出入国在留管理庁が公表している「在留特別許可に係るガイドライン」とほぼ同じ内容となっている。収容・送還に関する専門部会の報告書では、「一層適切な在留特別許可の活用に努めること」との提言があった。今回の改正により在留特別許可は認められやすくなるのか、政府の見解を示されたい。

四 今回の改正に係る国会の議論では、改正案が成立したら新たな在留特別許可のガイドラインを策定・公表すると答弁があった。同じく、収容・送還に関する専門部会の報告書では、「更に基準を明確化し、公にすることを検討すべき」との記述があったが、新たなガイドラインは、この提言に沿うように、今のガイドラインよりも明確な内容とする予定なのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。