質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一四一号

難民審査参与員による審査の質の向上に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   難民審査参与員による審査の質の向上に関する質問主意書

 難民審査参与員による審査について元々の専門性や経験が難民認定の実務に必要な素養やスキルと重なり合う部分が多い場合、そうでない場合と比較して、より容易に質の高い審査にたどり着く可能性が高いと言える。例えば、国連難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)や日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)からの推薦を受けた参与員はそれに当たると考える。

 衆議院における出入国管理及び難民認定法等の改正案の審議では、難民審査参与員について弁護士、国連勤務経験者、大学教授等の難民認定に関連する知識経験がある外部有識者から選任しているとの答弁があったが、その一方で、二〇二三年四月一日現在の参与員百十七名のうち、日弁連やUNHCRの推薦を受けた人はそれぞれ十一名、四名しかいないとの説明があった。高い専門性が求められるポストで全体の十五%にも満たない人数しかいないというのは少なすぎると考える。

一 今後UNHCRや日弁連、難民支援団体からの推薦を増やしていく予定はあるか。無いのであれば必要と考えるが、これに関する政府の見解を示されたい。

二 第二百十一回国会の出入国管理及び難民認定法等の改正案の審議において、二〇二三年五月二十五日の参議院法務委員会に参考人として出席した、ある現役の難民審査参与員は、「たまに、実際案件を見て、これ本国情勢どうなのかなと当てはめなきゃなんないときがある」、「出身国情報を詳細に検討しなければこの案件について迫害のおそれがあるかないかという判断ができないという案件、実は余りなかった」、「全体的な出身国情報に当てはめなくても、申請者の個別事情だけで判断できるという案件の方が実は多かった」と発言した。

 難民性の判断に不可欠とされる「出身国情報」をほとんど検討していないとの陳述であるが、出身国情報を漏れなく詳細に検討しない参与員審査は、制度的に想定されているものなのか。

三 参与員審査に当たり出身国情報の重要性はほとんどの有識者や実務関係者が共通し認識するところである。ただし、一つの国であっても社会、文化、歴史等把握すべき情報は広く深いものがある。現在は、参与員それぞれが、受け持ちの申請者の出身各国の情勢を勉強しなければならないので、非常にその負担が重くなっている。

 難民認定の質の向上には、出身国情報の質の向上が必要であるので、国別に受け持ちの参与員を決めて案件を分配すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。