質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一四〇号

難民審査参与員と難民認定の専門性との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   難民審査参与員と難民認定の専門性との関係に関する質問主意書

一 難民審査参与員制度に関し、難民認定について高度な専門性を持つ参与員が二次審査を担当するので、「保護すべき者を確実に保護している」と法務大臣は繰り返し参議院法務委員会で述べてきた。

 だがこの点につき、二〇二三年五月二十三日に行われた参議院法務委員会の参考人として出席した阿部浩己明治学院大学教授は、国際人権法・難民法の専門家で十年間参与員を経験した立場から、「難民審査参与員の方々は、それぞれの領域において非常に高度の知見を有しておられる専門家の方々です。(中略)しかし、端的に申し上げて、誰一人、難民認定の専門家ではありません。少なくとも、難民審査参与員として仕事を始めるときに難民認定手続の専門家ではないんです。」と陳述した。

 阿部教授のこの問題提起に対する政府の認識を示されたい。

二 阿部教授は参与員について難民認定の専門性を否定した上で、「だからこそ、どのような御専門の方であっても、難民認定手続に詳しくなるためには研修を受けないといけないんですね。しかし、これまではそれぞれの領域の専門家であるということを理由にして、(中略)研修を受けるような必要もない」との暗黙の了解があったとの認識を示した。

 実際に、阿部教授だけでなく同日参考人として出席した川村真理杏林大学教授からも、同日の質疑において「参与員に対しては、(難民認定の実務に関する)実質的な研修はない」旨の発言があった。すなわち、難民条約の解釈やインタビューの仕方といった基本的で実務的な研修さえ行われていない、ましてや、供述の信憑性の評価の仕方であったり、出身国情報の使い方であったりという、そういう個別事案に即した研修は当然のように行われていないということである。

 オリエンテーション等は別として、実務的な研修が十分行われていないという指摘は事実か。

三 これらの指摘を受け、参与員の研修に関し、難民条約の解釈やインタビューの仕方といった基本的で実務的な研修や、供述の信憑性の評価の仕方、出身国情報の使い方などの個別事案に即した研修を採り入れる検討を行う予定はあるか。

  右質問する。