質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一三七号

政党の代表者変更登記申請に必要な添付書類に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   政党の代表者変更登記申請に必要な添付書類に関する質問主意書

 政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「政党法人格付与法」という。)が施行されてから令和五年三月に至るまで、代表権を有する者(以下「代表者」という。)が一名のみであると党則等で定められている政党において代表者の変更があった場合、法務局へ提出する当該変更登記の申請書には、代表権を有していた者の記名・押印した書面の添付提出を要求されてはこなかったものと理解している。

 そのため、これまで代表者が辞任した場合や代表者が政党から解任された場合には、代表権を有していた者の記名・押印した書面は法務局へ提出されていなかったものと考えられる。

 令和五年三月、政治家女子48党の代表者が変更された場合も、退任した代表者が記名・押印した書面を添付していないものと承知している。

 その背景としては、代表取締役の退任による変更登記の申請の際に、退任した当該代表取締役の記名・押印した書面を要求していない商業登記法第五十四条第四項及び同第一項を参考にしたものと推測される。なお、その大前提として、条文上は、政党法人格付与法第十五条の三が商業登記法第五十四条を準用していないことは確認しておかなければならない。

 特に、株式会社において、代表取締役がその意思に反し解任された場合に、当該代表取締役の記名・押印した書面を要求するとすれば不可能を強いるに等しいことになるものとも言えるのであり、代表取締役の変更登記をすることが事実上不可能になってしまうため、政党の代表者が変更された場合も、退任した代表者が記名・押印した書面を要求しないことには一定の合理性が認められてきたからであると思われる。

 ところが、近時、代表者が一名のみであると党則等で定められている政党の代表者の変更があった場合に、本来の政党法人格付与法第七条の二第二項括弧書き、同第一項及び第七条第二項第四号に従い、法務局は、代表者がその意思に反し解任された場合であっても、当該代表権を有していた者の記名・押印した書面の添付を要求しており、結果として、不可能を強いる結果になっている。

 そこで、以下質問する。

一 政党法人格付与法が施行されてから本年三月に至るまで、代表者が一名のみであると党則等で定められている政党の代表者の変更があった場合、法務局は、当該変更登記の申請に対し、代表権を有していた者の記名・押印した書面の添付を要求してきたのか。

二 現在、代表者が一名のみであると党則等で定められている政党の代表者の変更があった場合に、法務局は、代表者がその意思に反し解任された場合であっても、当該代表権を有していた者の記名・押印した書面の添付を要求しているのか。要求しているとすれば、その根拠は政党法人格付与法第七条の二第二項括弧書き、同第一項及び第七条第二項第四号か。

三 前記一で、要求してこなかったという回答の場合、政党法人格付与法第七条の二第二項括弧書き、同第一項及び第七条第二項第四号に反しているため違法であり、今日に至るまで当該違法状態が継続しているという理解で正しいか。その場合、これまでの政党代表者変更登記は全て無効になるのか。無効にならない代表者変更登記があるとしたら、その理由は何か。

四 前記一で要求してこなかったという回答の場合、かつ、前記二で要求しているという回答の場合、両者は矛盾しないか。矛盾しないとしたら、その理由は何か。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。