質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一三五号

送還停止効の例外に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   送還停止効の例外に関する質問主意書

 第二百十一回国会で成立した出入国管理及び難民認定法等の改正法による改正前の出入国管理及び難民認定法では、外国人が難民認定の申請をすると、難民認定手続終了までの間は、申請の理由や回数を問わず一律に送還が停止されることになっていた。これは送還停止効と言われるものだが、今回の改正によって、三回目以降の難民認定申請については、送還停止効の例外とすることとなった。二〇二二年に三回目以降の難民認定申請を行った者の中には、十八歳未満の子どもも四十九人いるということである。この中には、日本で生まれ育ち、日本語しか話せない子どももいるが、そういう子どもたちも強制送還されることとなる。この点につき、以下質問する。

一 改正法では、三回目以降の難民認定申請でも、相当の理由がある資料を提出した者は、送還停止効の例外とならないことを規定している。この「相当の理由がある資料」とはどのようなものを、そしてどの程度のものを想定しているか。

二 二〇二三年四月二十五日の衆議院法務委員会で、相当の理由がある資料について、資料の形態や形式に制限がなく、申請者の陳述や申請書自体も「資料」に該当し得ることが確認できた。実際に提出される資料の例として、前回処分後の情勢の変化が挙げられていたが、それに加えて、過去の難民申請で提出することができなかった資料や、主張することができなかった事情も、「相当の理由がある資料」に含まれるということでよいか。

三 三回目以降の難民申請者が提出した資料が「相当の理由がある資料」に該当しないと判断された場合の送還実施までの期間について、二〇二一年六月十七日付「送還実施に当たっての留意事項について(指示)」という通知では、送還実施の二か月以上前に通知を行うこととされている。

 しかし、難民不認定処分に関する個人情報開示だけで二か月を要することもあり、裁決告知から二か月以内に弁護士の受任が決定し、訴訟準備を行い、退去強制令書の執行停止に行きつくことは、多くの場合、現実的ではないのではないか。

 また、前記通知では、二か月以上後の送還をあくまで「原則」としており、二か月経過前の送還が可能な記載となっている。

 原則二か月とするこのルールでは、裁決告知から送還までの期間が短く、裁判を受ける権利が実質的に保障されているといえない。

 難民申請者が裁判を受ける権利を実質的に保障するためには、裁決告知から送還までの期間として、最低出訴期間である六か月以上の期間を設けるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。