質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一三一号

女子差別撤廃条約に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月二十日

水野 素子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   女子差別撤廃条約に関する質問主意書

 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(以下「女子差別撤廃条約」という。)は、一九七九年十二月十八日、第三十四回国連総会において採択され、我が国では一九八五年七月二十五日に発効した。さらに一九九九年十月六日、第五十四回国連総会において選択議定書が採択されたが、その後二十三年が経過した現在も、いまだ選択議定書を批准しておらず、その間に、男女間格差を示すジェンダー・ギャップ指数で、我が国は調査対象となった百四十六か国中百十六位(二〇二二年世界経済フォーラム公表)と、G7・主要七か国首脳会議構成国中最下位に転落した。この状況を踏まえ、女子差別撤廃条約について、以下のとおり質問する。

一 女子差別撤廃条約締約国百八十九か国中百十五か国が選択議定書を批准している。政府は、女子差別撤廃委員会より、二〇〇三年以降毎回の報告書審査において、選択議定書を批准するよう是正勧告を受け、真剣に検討する旨の回答を繰り返しているにもかかわらず、いまだに選択議定書の批准をしていない。その理由を明らかにされたい。

二 ジェンダー・ギャップ指数が、百四十六か国中百十六位と低迷していることについて、政府の受け止めを示されたい。

三 国際連合には、女子差別撤廃条約を含む九の人権条約に基づき、九の個人通報制度があるが、我が国は一つも参加していない。政府においては、一九九九年より外務省と法務省で四十回、その後は関係府省に広げて二十二回にもわたり「個人通報制度関係省庁研究会」が開催されているが、批准に向けた具体的な進捗がないのはなぜか。その理由を明らかにされたい。

四 「個人通報制度関係省庁研究会」の内容は一部を除き非公開となっている。この研究会における議論の内容が非公開となっている理由を明らかにするとともに、研究会の過去の記録を全て公開する意思はあるか、政府の見解を示されたい。

五 個人通報制度について、政府は、「我が国の司法制度と相入れないものではない」、「注目すべき制度」としているにもかかわらず、「真剣に検討を進めている」として、いまだに受け入れていない。直ちに受け入れるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 女子差別撤廃に関しては、二〇〇九年に、女子差別撤廃委員会より、選択的夫婦別姓制度の早急な導入を求める勧告を受けており、その後も二〇一六年の総括所見、さらには、二〇一八年のフォローアップ評価書でも、「婚姻後女性が、婚姻前の氏を保持することを可能にする法律の制定を行うこと」を勧告されている。政府がいまだに応じていない理由と、今後の取組の見通しを明らかにされたい。

  右質問する。