質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一二四号

性犯罪の再犯防止に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月十九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   性犯罪の再犯防止に関する質問主意書

 平成二十九年に引き続き、令和五年にも、性犯罪関係の刑法等の改正が行われた。犯罪成立の要件等に関し大きな改正が行われたが、性犯罪が起こってしまった後の対処もさることながら、そもそも極力性犯罪が起こらない、起こさないことが重要ということは言うまでもない。その視点に立ち、性犯罪における再犯防止の重要性を踏まえて以下のとおり質問する。

一 再犯防止で着目すべきは、性犯罪行為の「病気や障害」としての側面に着目したアプローチである。依存症等の専門家によると、盗撮は「性依存症」、子どもへの性的関心は「小児性愛障害」との診断が付くケースがあるとのことである。病因だけに再犯率が異常に高く、子どもへの性犯罪前科二回以上の者の再犯率は八十四・六%に上るとの調査結果もある。病理的な原因に着目すると、再発防止の鍵として、専門治療や療法という対応策が前面に出てくる。

 もちろん、病気や障害としての側面に着目しすぎることで、本人の行為責任を隠蔽することは避けなければならないが、現在は再犯対策を策定するに当たり、性犯罪行為の「病気や障害としての側面」からのアプローチが手薄すぎるのではないか。この視点について政府の認識を示されたい。

二 性犯罪行為を抑止する又は再犯を防止する上での「啓発や性教育」の重要性について政府の認識を示されたい。

三 法務省は平成十八年から「性犯罪者処遇プログラム」を一部のケースで導入し、再犯防止を図っている。このような取組はより強化されるべきであり、この「性犯罪者処遇プログラム」について、(1)刑事施設や保護観察でのこの種の指導をより充実させる必要性、(2)入所期間中だけではなく出所後や保護観察後の治療の継続の支援等に努める必要性、(3)プログラムによる効果検証も、より頻度を増して定期的に行い、プログラムの内容と再発防止の効果の相関関係を検証する必要性があると考えるが、これらの提案に関する現在の状況及び政府の考えを示されたい。

  右質問する。