質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一二二号

配偶者間の性暴力に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月十九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   配偶者間の性暴力に関する質問主意書

 令和二年度の内閣府の調査(令和三年三月内閣府男女共同参画局公表)によると、配偶者からのDVの被害経験として、約五・二%が配偶者から「性的強要」(性的DV)を受けたことがあるとされている。

 日本国内に常住する夫婦は約三千万組六千万人強なので、その五・二%というと、単純計算で約三百十二万人が性的DVの経験ありということになる。一方で、警察庁の資料によると、配偶者間における性犯罪の検挙件数は年間僅か数件に過ぎない。もちろん性的DVと性暴力犯罪は定義が異なるので、単純に比較できない。だが、性的DVのある程度の割合が性暴力犯罪でもあるであろうことを考えると、配偶者間の性暴力事件の大半に司法の手が及んでいないことは否定しようがないと考える。

一 配偶者間の性暴力事件について、「司法の手が及んでいないケースがある」のではなく、「ほとんどの性暴力事件に司法の手が及んでいない」とよりシビアに現状認識を行うべきではないか。政府の認識を改めて示されたい。

二 令和五年六月十三日の参議院法務委員会において、私が配偶者間の性暴力を訴える一一〇番にどのように対応しているか質問したところ、「被害届が出れば対応する」旨の答弁がなされた。

 このようなケースにおいて、現場の警官は、被害を訴える当事者に対し、必ず被害届の件を説明し、性暴力に当たるならば被害届を出すように説明しているのか。

三 各種のわいせつ罪類型は、被害者からの申出がなくとも事件化が可能な非親告罪のはずである。被害届の提出を待たず、現場の即応が必要なケースもあるのではないか。

 また、どのような状況が即応すべきケースなのか、現場の警官が判断できるようにする必要があるのではないか。政府の認識を示されたい。

  右質問する。