質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一一六号

大学でのマイナンバーカード利用促進施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月十六日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   大学でのマイナンバーカード利用促進施策に関する質問主意書

 令和五年六月九日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、大学での出席・入退館管理や各種証明書発行等のマイナンバーカード活用の先進事例を周知するとともに、令和八年度から、国立大学法人に対し、「設定された中期目標・中期計画に基づき、マイナンバーカードの活用を含めた業務の実績について、国立大学法人制度の中で評価を開始し、運営費交付金の配分に反映する」との方針が示された。令和五年度の国立大学法人運営費交付金は、国立大学が法人化された平成十六年度と比較して一割以上減少している。マイナンバーカードの活用実績を国立大学法人運営費交付金の配分に反映することは、これ以上の国立大学法人運営費交付金の減額を避けたい国立大学法人に対し、マイナンバーカードの活用を事実上強制する施策になり得ると考えられる。

 一方で、マイナンバーカードに関しては、コンビニ交付サービスにおける誤交付、保険証の紐付け誤り、公金受取口座の誤登録、マイナポイントの紐付け誤りといったトラブルが相次ぐなど、政府の推し進めるデジタル化への不信が拭えない状況にある。

 右の観点から、以下質問する。

一 大学においてマイナンバーカードによる出席・入退館管理を実施することは、学生にとってどのようなメリットがあるか示されたい。

二 大学での出席・入退館管理にマイナンバーカードを活用する場合、当該大学の学生はマイナンバーカードの取得が必須となるか示されたい。また、出席・入退館管理にマイナンバーカードを活用する大学は、取得しない学生に対する代替措置を講ずることが必須となるか示されたい。

三 地方職員共済組合で、マイナポータルを通じて、他人の年金情報を閲覧できるトラブルが確認されている。大学の出席・入退館管理にマイナンバーカードを活用する場合、授業への出席状況や履修している授業科目等の個人情報について、本人と当該情報を業務上必要とする大学職員以外の第三者から閲覧できないシステムとすることが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 現行の第四期中期目標・中期計画において、デジタルキャンパスの推進に当たりマイナンバーカードの活用を掲げていない国立大学法人については、マイナンバーカードの活用実績が評価され、運営費交付金が減額されることがないという理解でよいか政府の見解を示されたい。また、第四期中期目標・中期計画において、デジタルキャンパスの推進に当たりマイナンバーカードの活用を掲げている国立大学法人であっても、マイナンバーカードの活用以外の業務の実績によってデジタルキャンパスの推進を達成していることが確認できるものについては、運営費交付金が減額されることはないという理解でよいか政府の見解を示されたい。

五 令和元年六月四日にデジタル・ガバメント閣僚会議で決定された「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」において、「国立大学法人の第四期中期目標にマイナンバーカードの活用やロボテクス化等を通じたIT化・デジタル化による事務システムの効率化を盛り込む」とされ、多くの国立大学法人の第四期中期目標にマイナンバーカードの活用が記載された。事務の効率化の手段については各国立大学法人の自主性に任せるべきであり、閣僚会議決定でマイナンバーカードの活用を「中期目標に盛り込む」とすることは適切ではないと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。