質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一〇五号

休眠預金等活用法の仕組みの見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月十三日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   休眠預金等活用法の仕組みの見直しに関する質問主意書

 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成二十八年法律第百一号)(以下「同法」という。)は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的とされた法律である。同法は、休眠預金という個人の私有財産を活用するものであり、令和五年一月をもって同法が全面施行されてから五年が経過し、政府において「休眠預金等活用法の五年後見直しの対応方針」(以下「政府見直し」という。)が取りまとめられた。この政府見直しに記載のなかった論点について、以下質問する。

一 同法第十六条は、休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念を定めており、同条第一項では、「休眠預金等交付金に係る資金は、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資することとなるもの(以下「民間公益活動」という。)に活用されるものとする。」とされているが、ここでいう「困難な社会の諸課題」とは具体的に何か示されたい。

二 同法第十六条第四項には、「休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが大都市その他特定の地域に集中することのないように配慮されなければならない。」とある。これは都市差別条項であり、この法案は地方への利益誘導を目的としたものと解せられても仕方がない。したがって、同条第三項に定められた休眠預金等交付金に係る資金の活用における透明性の確保が困難ではないかと考えるが、政府の見解如何。

三 前記二について、同法第十六条第三項に定められた透明性の確保を図るために政府が行っている具体策を示されたい。

四 前記二について、同法第十六条第三項に定められたとおり、多様な意見が適切に反映され、その活用の透明性の確保を図ったことで、活用先地域に偏りが生じる可能性が出ることは十分に想定されるが、その場合は同条第三項が優先されるべきか、同条第四項が優先されるべきか。現状の実態ではなく政府の見解を示されたい。

五 同法第十七条第一項では公益に資する活動の定義が定められているが、これは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)で定められた特定非営利活動法人が行う二十の活動全てではなく、子ども及び若者の支援に係る活動、日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動、地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動等に限定されている。特定の活動に絞られた理由について、平成二十八年五月十八日の第百九十回国会衆議院財務金融委員会において、法案の提出議員である岸本議員(当時)は、「できるだけ新しい社会的課題を解決する方法をとるようなところに絞っていく」と答弁しているが、第十七条第一項で定められた活動が新しい社会的課題を解決する方法をとるところとされたエビデンス(根拠)はあるか。また、現代の社会的情勢を鑑みて、この対象分野を広げる又は見直す必要性について政府の見解如何。

六 同法第二十条第一項では、内閣総理大臣は、資金分配団体に対し助成等の実施に必要な資金について助成又は貸付けを行うこと等の業務について同条各号に掲げる基準に適合すると認められるものを指定活用団体として指定することができるとされている。同法における指定活用団体を複数ではなく一つにしたことで健全な競争を阻害し、利権につながるおそれがある。指定活用団体を一つとする利点と、利権につながるおそれがあるとの指摘に対する政府の見解如何。

七 前記一から六について、令和五年一月に行われた政府見直しでこのような同法そのものの仕組みに関する見直しは協議されたか。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。