質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第九七号

原子力災害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月八日

ながえ 孝子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   原子力災害に関する質問主意書

 原子力災害は、風向きによってはUPZ(緊急時防護措置準備区域)範囲外でも避難しなければならないエリアも出てくるなど、広域避難体制を考えておかねばならない特殊性がある。愛媛県の伊方原子力発電所で事故が起こった場合、当該エリアは広域避難の際重要となる高速道路が未開通である。大洲から松山などにつながっている既設高速道路も、片側一車線(単線)で原子力災害発生時に渋滞が予想されるなど、避難の際、高速ネットワークが機能しないのではという心配の声も大きい。また、UPZ圏内唯一の避難路である幹線国道百九十七号線は地滑り危険箇所が多く、国道が分断された場合、代替路がない状況である。

一 伊方原子力発電所近隣住民の安全を確保する避難計画の実効性について、政府はどのように評価しているのか。

二 佐田岬半島の地理的条件により、伊方原子力発電所以西地域の住民は、原子力災害発生時には西の半島の先に避難することとなる。避難計画では、大分県へ船で避難するとされているが、地震と原子力災害が複合的に起こった場合、どのように船舶を確保するのか。伊方原子力発電所以西地域の住民の避難を担うのは、海上保安庁なのか、海上自衛隊なのか。

三 船舶による避難が難しい場合、屋内退避をすると計画されているが、このエリアの住民全員が退避できる放射線防護施設は確保されているのか。

 伊方町の避難計画では、「放射線防護施設」は六か所しかなく、住民全員の退避には限界があると思われるが、住民の安全をどう確保するのか。

四 伊方原子力発電所の立地する佐田岬半島エリアは、急傾斜地に家が点在し、高齢者の独り住まいも多い。原子力災害発生時にどのように災害発生を伝え、避難ルートを指示し、足腰の弱っている住民を居住区から離れた港まで誘導するのか。避難計画では、高齢者など要配慮者の避難について、地域の消防団の協力などを想定しているが、消防団員も減少している中で政府としてどう考えているか。マンパワーは確保されるのか。

五 伊方原子力発電所付近で操業していた漁業者が避難する場合、除染についてはどのように対応するのか。

六 避難ルート策定に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は活用されているのか。毎年実施される避難訓練においては、訓練実施の季節に応じて拡散状況などがSPEEDIである程度予測できると思われるが、避難訓練に活用されているか。また、その想定は自治体と共有しているのか。

  右質問する。