質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第八九号

東京圏一極集中の是正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年六月一日

齊藤 健一郎


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   東京圏一極集中の是正に関する質問主意書

 政府は、二〇二二年十二月二十三日に地域活性化の新たな五か年計画「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(以下「総合戦略」という。)を閣議決定し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指し、「東京圏への過度な一極集中の是正」を目標に掲げた。

 以下質問する。

一 総合戦略では「東京圏への過度な一極集中の是正」を図るとしているが、二〇一四年十二月二十七日に安倍政権(当時)が閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、「二〇二〇年に東京圏との転出入の均衡」が目標として掲げられていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により近年はリモートワークが普及したものの、二〇二一年の東京圏は、転入者が転出者を約八万四百人上回る転入超過になり、企業の本社機能の地方移転も進んでいるとはいえない。政府は、当時の安倍政権が掲げた目標を達成できていない要因を十分に分析した上で、「東京圏への過度な一極集中の是正」を新たな目標として総合戦略に盛り込んだのか。分析したのであれば、その結果を具体的に示されたい。

二 今や東京の予算はスウェーデンの国家予算を上回り、東京圏は日本の経済的な中心地として、ヒト・モノ・カネ・情報などが集中している。そのため、人が集まれば集まるほど第三次産業のニーズは多様化かつ巨大化していき、新たな市場が爆発的に生まれている。

 東京一極集中を肯定的に捉えているわけではないが、メリットも無視はできない。地方から東京圏へ労働力となる人が集まり、中央政府は東京圏の企業による経済活動で税収を得る。中央政府はこれらの税金から地方へ地方交付税などの補助金を分配している。これは「東京一極集中が日本経済を牽引している」といえるが、「東京圏への過度な一極集中の是正」を掲げることにより好調な東京圏の経済に悪影響を与える懸念はないといえるのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。