質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第八二号

大麻由来成分「CBD」の違法な流通実態に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年五月二十四日

松沢 成文


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   大麻由来成分「CBD」の違法な流通実態に関する質問主意書

 この数年間、「カンナビジオール」(以下「CBD」という。)という主に大麻草に含まれる成分の原料及びその製品が日本へ輸入されている。CBDには、リラックス効果、睡眠改善効果、肌の抗炎症効果が期待されており、既に米国では、CBD製品の市場が三千億円規模にまで成長している。そうした中、我が国においても、本年中にCBD市場が四百八十億円程度の規模にまで成長することが見込まれている。

 このように国際的にCBD製品の市場が拡大する中、日本の大麻取締法では、大麻由来のCBD製品及び原料は、大麻草の「成熟した茎と種」から抽出されなければならないとされている。「成熟した茎と種」以外の大麻草の葉、花穂、樹脂、未成熟した茎、枝、根から抽出されたものは、「大麻」に該当することから禁止されているのである。

 しかし、CBDを大麻草の「成熟した茎と種」からのみ抽出することは、植物の特性及び現在の製造技術からも現実には不可能である。米国の麻薬取締局(U.S. DRUG ENFORCEMENT ADMINISTRATION)と司法省(U.S. DEPARTMENT OF JUSTICE)も、「大麻草の茎と種子からCBDを含む抽出物を製造するのは現実的ではない」ことを公式見解の中で明らかにしている。また、米国の麻産業協会(US HEMP INDUSTRY ASSOCIATION)の責任者も、「米国で製造される九十九%のCBDは大麻草の茎と種ではなく、葉、花穂から抽出されてる」と述べている。

 そして、日本へ輸入されている大麻由来のCBD製品は、大麻取締法に違反しながらも、輸入に必要な「茎と種の証明書」を偽造することで流通している状況が放置されてしまっているのである。当然のことながら、輸入者から先の商流である取引先や販売者、最終消費者は、大麻取締法に違反する製品を、その自覚なく販売、所持及び購入している事態となっている。

 そこで以下質問する。

一 植物の特性や経済的合理性の観点から成熟した茎と種からCBDを製造することは困難だと考えるが、政府は、成熟した茎と種からCBDを抽出し、その原料や製品を製造することが可能だと考えているのか。

二 もし可能だと考える場合、どういったデータを基に製造可能と判断しているのか。

三 大麻樹脂などを含む規制部位の付着や製造上のコンタミネーション(混入)についてどのような方法で監視しているのか。

四 多くの専門家が述べているように、CBD原料及びその製品が茎と種のみから抽出できないとの情報が正しいのであれば、政府は国民を大麻取締法違反から守るための対策を採るべきだと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。