質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第七九号

在日米軍人・軍属等による事件、事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年五月十九日

髙良 鉄美


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   在日米軍人・軍属等による事件、事故に関する質問主意書

 在日米軍人・軍属やその家族(以下「米軍関係者」という。)による犯罪事件、事故が多発している。沖縄県中頭郡北谷町で本年三月に米海軍兵による住居侵入事件が発生した。同町では一月にも米空軍兵による窃盗及び建造物侵入事件、二月には器物損壊事件が同様に発生しており、町議会において抗議決議が全会一致で可決された。また、うるま市でも本年一月、米軍水兵が酒気を帯びた状態で車を運転して道路を逆走して事故を起こし、沖縄市では四月初めに米軍関係者同士の乱闘事件が起きた。これらの事件、事故は全て飲酒絡みである。これについて以下質問する。

一 米軍関係者が直近一年間に起こした事件や事故の検挙数を、それらが発生した都道府県別に明らかにされたい。また、これらのうち、飲酒絡みの事件は何件あるかも併せて明らかにされたい。

二 在沖米軍のリバティー制度が二〇二二年十二月に緩和されたことを受け、右に挙げたような事件や事故が増加しているとの意見がある。これまでも犯罪事件、事故の再発防止を求めてきているが、現状では実効性のある対策は講じられていない。これ以上の事件、事故の発生を防ぐため、政府としてどのような策を講じるか。また、米軍に対し、リバティー制度の規制強化を求めているかを示されたい。

三 事件、事故の多発を受けて「米軍人、軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(以下「CWT」という。)の開催が求められている。CWTの開催について過去の政府の答弁書(内閣衆質一八〇第九六号)においては「構成員の要請に基づき、外務省沖縄事務所において日程調整を行った上で、開催」とされている。これまで沖縄県を始め沖縄県議会、北谷町議会等がCWTの開催を要請していると承知している。二〇二二年三月三日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会において林芳正外相は「公務外の事件、事故の防止という目的に鑑み、その在り方も含めて、在沖米軍や沖縄県などの関係者と調整をしているところ」と述べているが、政府としてCWTの開催を要請しているか。要請しているのであれば、要請した日を明らかにした上で、開催に向けたこれまでの政府の取組を明らかにされたい。

四 SACO見舞金とは、「米政府による支払が裁判所の確定判決による額に満たない事例が生じた場合に、日本政府が必要に応じてその差額を埋めるために支給する見舞金」とされている。二〇〇八年に沖縄市で起きた公務外の米軍関係者二人によるタクシー強盗致傷事件で、裁判で加害者に命じられた二千六百四十二万円の損害賠償が十五年を経た現在でも支払われていないと報道された。米政府から提示された金額が裁判で確定した額に満たない場合は日本政府が差額分をSACO見舞金で埋めるのではないのか。また、事件から十五年もの歳月が経ち、被害者本人は既に他界している。手続の煩雑さ、さらに時間がかかりすぎることなど、被害者救済の観点からすると大きな問題である。米軍関係者の起こした事件、事故の被害者は日本の裁判所で確定した金額を速やかに受け取れるようにすべきではないか。政府の見解を示されたい。

五 二〇一八年六月一日の参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会において、政府は、米軍関係者の公務外の事故について「当事者間により解決されない場合の補償金額の算定に当たり、国家賠償における算定方法と同様に、事故等と相当因果関係のある範囲で通常生ずべき損害について、まずは防衛省において公正に請求を審査、算定した上で米国政府に当該請求を送付する」旨答弁している。米軍関係者が公務外に起こした事件、事故の損害賠償に「国家賠償における算定方法」を適用するのはなぜか、明らかにされたい。

六 米軍関係者が公務外に起こした事件、事故について、被害者への損害賠償には迅速さ、手続のしやすさが求められる。日本政府は被害者に寄り添って、米政府に対して交渉を行うべきと考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。