質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第七八号

公的機関の職員の国籍に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年五月十八日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   公的機関の職員の国籍に関する質問主意書

 国家の安全保障の根幹は、国土及び国民を守るとともに、統治機構が真に主権者たる国民の利益を第一に運営されるかにある。そのため、主権者である日本国民が国の統治機構の構成員に選ばれることが基本的な在り方である。ゆえに、日本国の統治、すなわち国家の運営を他国に委ねることは、国の主権と独立を侵害するものである。

 このため、我が国の国家公務員となるには、日本国籍を保有することが要件とされるのは当然である。国を運営する職務を外国籍職員に委ねることは、主権の維持、安全保障などの観点から深刻な問題が生じる。一例ではあるが、仮に中国籍の職員が公的職務に就いた場合、中国の国防動員法により、当該中国籍職員は中国政府の命令に服することとなりうるため、我が国の運営に重大な問題と懸念が生じる。国の運営を担う組織には、中央省庁のほかにも、独立行政法人が存在する。独立行政法人制度とは、「各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度」とされている。独立行政法人は、政府の政策の実施を担う機関であり、独立の法人格とはいえ、職員採用に当たっては国家公務員と同様に国籍について厳重かつ慎重な対応が必要と考える。数多くの独立行政法人が日本の科学技術に関わる事務・事業に携わっており、経済安全保障の観点から、我が国から高度技術が流出することを防ぐなど特段の注意が必要である。以上を踏まえ、以下質問する。

一 独立行政法人の職員採用において、国籍に関してはいかなる方針をとっているか。日本国籍を保有していること、外国籍を保有していないことを職員の条件としているかを含めて明らかにされたい。

二 現在、独立行政法人では、外国籍の職員が採用され在籍しているか。外国籍の職員が採用され在籍している場合は、以下の内容を明らかにされたい。

1 外国籍職員を採用している独立行政法人(以下「当該独立行政法人」という。)の名称

2 当該独立行政法人ごとに、採用され在籍している外国籍職員の国籍と国籍別の人数

3 採用され在籍している各外国籍職員について、国籍を明示した上で、当該独立行政法人における組織内の所属と役職名

4 その職について、外国籍職員を採用しなくてはならないやむを得ない事情を具体的な職種ごとに示し、また当該外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか示されたい。

  右質問する。